東北から選ばれた9件の中では、岩手県が最も多くて3件、青森県と秋田県が2県ずつ、宮城県と福島県が1件ずつ含まれている(図5)。岩手県では「松川地熱発電所」がある八幡平市(はちまんたいし)で2件が選ばれた。地熱を活用した農作物のブランド化と生産者の拡大を通じて、若者の定住を図ると同時に他地域からの移住者を増やす狙いだ。
八幡平市でも1980年代から地熱の温水を利用したハウス栽培を実施している。最近では地元の企業組合がコンビニエンスストア大手のローソンと共同でピーマンの実験栽培に取り組み、収穫したピーマンをローソンの店舗で販売できるようになった(図6)。ただしビニールハウスの中には使われていないものもあるため、補助金を活用して普及策を推進していく。
福島県では古くからの名湯である福島市の「土湯(つちゆ)温泉」が補助金の交付対象になった。土湯温泉では源泉から湧き出る蒸気と熱水を利用した地熱発電所が2015年11月に運転を開始している(図7)。発電に使った後の熱水をエビの養殖施設や融雪設備に利用することを検討中で、地域住民の理解を得るために補助金を使う。発電所と合わせて地熱を生かした町づくりで地方創生のモデル地域を目指す。
地熱開発の補助金は2次公募が5月19日から始まっている。1次公募と同じ条件で6月20日の正午まで各地域の経済産業局で受け付けて、7月中に採択案件を公表する見込みだ。2次公募の結果でも予算が余った場合には3次公募を実施する。2015年度には3回の公募を通じて48地域に補助金を交付した。
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