小売電気事業者はついに300社超、競争激化で撤退企業も:法制度・規制
経済産業省は2016年6月3日に新規の小売電気事業者登録を行い、新たに積水化学工業など7社を追加。これにより小売事業者登録は307件となった。
経済産業省は2016年6月3日と5月23日に新たな小売事業者登録を行い、新たに合計15件の小売事業者を追加した。この結果現在307件が小売電気事業者として登録されていることになり、300件を突破した。
新たに登録があった企業としてはイオン系の総合ファシリティマネジメントサービス事業会社であるイオンディライトや、NEC系のシステムインテグレーター子会社であるNECフィールディング、日立ハイテクグループで商社および計装、ICT事業などを行う日立ハイテクソリューションズ、マンションサービスプロバイダーのファミリーネットジャパン、化学大手の積水化学工業などが含まれる。
図1 5月23日に登録された小売電気事業者(クリックで拡大)経済産業省
図2 6月3日に登録された小売り電気事業者(クリックで拡大)経済産業省
経済産業省では今後、これまでに申請のあった357件のうち、審査中の55件についても、審査が終了次第、順次登録を行うとしている。
これらの拡大する小売登録事業者の一方で、登録番号「A0182」の豊通ニューエナジーは2016年6月1日付で事業の廃止届け出があり、登録を抹消したという。2016年4月1日の電力小売全面自由化からまだ2カ月が経過したところであるが、同社を含め、現在までに既に5社が登録抹消を行っている。競争激化による生き残り競争は今後厳しさを増すとみられている。
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