東日本大震災による原発事故により、町民の避難生活が続いている福島県の大熊町。同町では復興計画の一環としてメガソーラーの誘致を進めている。このほど新たに出力約11.7MWの発電所の建設が決まった。売電収益の一部は復興事業費として活用される。再生可能エネルギーの導入拡大とともに、復興計画を推し進めるプロジェクトが着々と進んでいる。
「福島第一原子力発電所」が位置する福島県の大熊町。2011年3月に起きた原発事故で全町避難を余儀なくされ、現在も多くの町民の避難生活が続いている。同町は2015年3月に今後10年間の取り組み目標を定めた「第二次復興計画」を策定し、復興に向けた取り組みを進めているところだ。
現在も大熊町の多くのエリアが帰宅困難区域に指定されている。こうした状況の中、大熊町では放射線量が比較的低い中央南部の「居住制限区域」内にある大河原地区を、復興の中心拠点と位置付け開発を進めている(図1)。
具体的には大河原地区に産業集積エリアや防災拠点、復興公営住宅の整備を計画している他、太陽光発電所や植物工場などの誘致を進めている。こうした取り組みを進める中で、2016年6月23日に約16万平方メートルの土地を活用した「大熊エネルギー・メガソーラー発電所」の建設が決まった。
同発電所は大熊町、NTTファシリティーズ、北芝電機、大熊町、福島発電が設立した合弁会社の大熊エネルギーが事業運営を行う。事業地は個人地権者が保有する土地を賃借した。合計出力は約11.7MW(メガワット)で、年間の発電量は一般家庭3500世帯分に相当する1万2700MWh(メガワット時)を見込んでいる。発電の開始時期は2017年7月1日を予定している。
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