太陽熱エネルギーで水を自動循環、有機野菜を家庭で栽培できるシステム量産へスマートアグリ(1/2 ページ)

再生可能エネルギーを利用した新しい農業に注目が集まるなか、太陽熱のエネルギーで有機野菜を栽培するシステムを日本のベンチャー企業が開発した。太陽熱で空気を膨張・収縮させて、野菜の栽培に欠かせない水を自動的に循環させる仕組みだ。2017年の量産に向けて限定販売を開始した。

» 2016年07月04日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 電気や機械を使わずに、太陽熱のエネルギーで有機野菜を自動的に栽培できるシステムが製品化される。太陽熱によって空気が膨張・収縮する圧力で水を循環させる(図1)。「SoBiC(Solar pneumatic Bio-Cycle system、ソーラー・ニューマチック・バイオサイクル・システム)」と呼ぶ方式で、東京に本社があるベンチャー企業のネイチャーダインが開発した。

図1 太陽熱を利用した自動野菜栽培システム「SoBiC」の仕組み。出典:ネイチャーダイン

 SoBiCは太陽熱のエネルギーで水を循環させる栽培器の中に、野菜や果物の種が入ったカプセルをセットする仕組みだ(図2)。カプセルの中には種のほかに有機培養土と肥料が入っていて、水道と太陽光があれば自動で野菜や果物を栽培することができる。

図2 カプセル野菜(左)、栽培器(右)。出典:ネイチャーダイン

 栽培器は水道栓とホースで直結して、週に1回くらいの頻度で水道栓から水を補充する必要がある。加えて1日に2〜3時間の直射日光が当たる50センチメートル四方のスペースを確保できることも条件になる。

 SoBiCは水の循環によって培養土に酸素を取り入れながら、野菜や果物の栽培に必要な微生物を活性化させることも可能なシステムである。開発したネイチャーダインが実施した栽培試験では、発芽率がほぼ100%になり、通常のプランターで栽培する方法よりも成長スピードが速いことを確認できた(図3)。

図3 栽培イメージ。出典:ネイチャーダイン
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