実は東京電力PGが委員会に提出した報告の中で、明確な表現を避けて記載した重要な問題がある。電力使用量や発電量のデータのうち4月分で298件、5月分で5788件を「協定対象」に挙げている。メーターの再検針などを実施しても確定できないデータが合計で6000件以上もあり、その処理方法を小売電気事業者と協議中だ。
結局のところ使用量や発電量の正確なデータを把握できないため、どのような形で電気料金を決めて請求するかを協議して決める必要がある。該当する小売電気事業者は115社にのぼる。このうち東京電力PGと協議した内容を了解した事業者は6月29日の時点で半分弱の56社に過ぎない。すべての事業者と合意できなければ、需要家に電気料金を請求できない状態が続いてしまう。
そればかりか、不正確なデータによって電気料金を誤って請求したケースも数多く発生している。6月24日の時点で電力使用量のデータのうち1646件が実際よりも過大に算定されていた。需要家の電力使用量は旧型の電力量計と新型のスマートメーターでは対象期間が異なる。ところがシステムの不具合によって発生した誤ったデータの修正作業の過程で、旧型から新型へ移行した期間の使用量を重複して加算してしまった(図4)。
さらに東京電力PGが4月以降に通知済みの約100万件のデータについても再確認したところ、同様の問題が219件で発生していることが新たにわかった。このほかにも小売電気事業者から「前年度と比べて使用量が過大」などの問い合わせを受けて判明した誤通知が6月27日の時点で少なくとも51件ある。旧型から新型へメーターを切り替えた時の読み取りミスや、システムに登録する時の誤りによるものだ。
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