家庭の総合ソリューションに勝機見いだすシャープ、ZEHに期待変転する太陽光発電市場(2)(1/2 ページ)

太陽光発電市場は2015年度でモジュール出荷量が前年割れをし、市場環境は転機を迎えようとしている。こうした中、主要メーカー各社は何を考え、何に取り組んでいくのか。第2回ではシャープの考えと取り組みを紹介する。

» 2016年07月06日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

第1回:「「環境悪化は逆に追い風」と強気の京セラ、信頼性武器に自立市場を狙う

 太陽光発電市場は2012年の固定価格買取制度(FIT)の開始以降、出荷が急増し2014年度まで大きく成長を遂げてきた。2014年度には9216MW(メガワット)を記録したがここをピークに2015年度は7136MWに減少。今後も普及そのものは着実な伸びを見せるが、従来のような大幅な右肩上がりの市場成長には陰りが見え始めている(関連記事)。

 こうした中でメーカー各社もモジュールを単純に販売するだけでは今後の生き残りが難しい状況になってきている。この環境下で主要メーカー各社は何を考え、何を強みとして取り組んでいくのか。2016年6月29日〜7月1日まで横浜市のパシフィコ横浜で開催された太陽光発電の総合展示会「PVJapan2016」で主要各社にインタビューを行い、本連載では各社の取り組む方向性を明らかにする。第2回の今回はシャープの考えと取り組みを紹介する。

連載:「変転する太陽光発電市場

家電向け総合エネルギーソリューションへ

 太陽光発電市場の動向についてシャープ エネルギーソリューションカンパニー ソーラーシステム事業部 事業部長の桃井恒浩氏は「市場環境は確かに以前とは異なってきているが、強みを発揮できる環境で勝負していく。例えば住宅向けであれば、新築住宅着工数は好調で新築向けのソーラーの出荷は減っていない。一方で、既築向けのソーラーへの影響は確かにあり、設置が減っているという状況がある」と述べる。

photo シャープ エネルギーソリューションカンパニー ソーラーシステム事業部 事業部長の桃井恒浩氏と、モジュールで世界最高効率を実現した太陽電池モジュール※)

※)関連記事:世界最高効率の太陽電池モジュールは、シャープが取り戻す信頼の第一歩

 こうした中で、シャープでは家電などを展開するノウハウなども組み合わせ、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を含む、家電向けの総合エネルギーソリューションで強みを発揮していく方針だ。

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