HITの実力と家庭用エネマネで差別化を図るパナソニック変転する太陽光発電市場(3)(2/3 ページ)

» 2016年07月07日 07時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

「HIT」の製品力を強みに

 さらに、製品単体としての強みも訴求する。パナソニックの太陽電池モジュール「HIT」は、世界トップレベルの変換効率、高温環境でも優れた発電パフォーマンス、40年の開発の歴史に裏付けられた高い信頼性などが特徴だ。変換効率は太陽電池セルの状態だけでなく、研究開発フェーズの太陽電池モジュールでも2016年1月に23.8%を達成(従来記録22.8%)。シリコン系モジュールの世界記録を更新した(関連記事)。こうしたR&D技術を早期に量産展開することで、さらなる価値向上を目指す。また、高温に強い温度特性(マイナス0.29%/度)により、夏場など高い温度下でも出力低下が少なく(夏場晴天時実測値で発電量差最大13%)年間発電量が大きくなるなどの導入者にとってメリットがある。

 こうした特徴を持つ太陽電池システムを長期に安心して使用してもらうため同社では無償のモジュール保証(出力+機器)を2015年度の製品から25年間に長期化した。公称最大出力に対して10年で81%未満、25年で72%未満になった場合および製造上に起因する不具合の場合無償で保証する。

作業を大幅に軽減する「PS工法」

 太陽電池モジュールの設置に関しても新しい工法である「PS工法(Push&Slide工法)」を採用している。「PS工法」は、現行の工法ではモジュール間がPV抑え(金具、ネジ)のスペースが必要なため約27ミリ空いているものを、取付金具などの改良により約7ミリへと狭小化を図った。それによりモジュール間カバーがなくても美しい外観を実現している。またモジュールの取り付けは差し込むだけ、モジュールの固定には電動工具が不要、軒カバーで高さが調節できる、架台フレームをスライドする固定金具の採用など、全体的に施工を簡易化し、安定した施工品質につなげている。その結果、各工程で工数が削減できモジュールの取付時間は現行工法と比べPS工法では約半減する。この他、荷重・耐風・耐震など各品種項目の試験を実施し、高い信頼性を確立している。省梱包による廃棄物の削減も行い、金属・ネジなど総部品点数も現行の工法の605点(スレート架台方式で4段5列での場合)から497点へと減らした。

 これらのPS工法、25年間保証の特徴をボリュームモデルに全面展開した住宅用太陽光パネル「P245αPlus」(品番VBHN245WJ01)を7月21日に発売する予定だ。出力量245Wで、モジュール変換効率は19.1%。面積(平方メートル)当たりでも、システム容量(kW)当たりでも発電量はトップクラスを誇る。また、寄棟屋根で太陽電池の搭載量をさらに大きくすることができるHIT「台形タイプ」の受注を2016年10月19日より受注を開始する。同タイプを加えることにより、寄棟屋根を始め、複雑な形状の屋根でも、スペースをさらに効率よく活用でき、従来に比べ寄棟屋根における太陽電池の搭載量を増やせることを提案する。この他、大型案件向けにも大型タイプ320Wモジュール(VBHN320SJ48)を7月から受注を開始し10月に発売する予定。モジュール変換効率は19.1%。大型案件に適した大型モジュール設計でBOSコストの低減に効果的だ。

photo PVJAPAN2016に出典した太陽電池モジュール。R&Dの成果を早期展開することで差別化につなげていく

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