電力の「1割」使うデータセンター、改善策は雪と排熱自然エネルギー(2/4 ページ)

» 2016年07月14日 11時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 もう1つの理由は、豊富な自然エネルギーを利用しやすいこと。これまでは利用しにくかった「雪」の熱エネルギーだ。

 「外気と雪氷の冷熱を組み合わせて利用する設備を設置することで、データセンター運用時に必要な空調の電気料金を38%削減できる(図4)。データセンター全体の初期投資額は40〜50億円であり、通常よりも7〜8%多いものの、運用時の消費電力削減が役立つ」(同氏)。

図4 寒冷地で得られる自然エネルギーを空調の電気料金削減に生かす

 「2017年10月に運用を開始する第一期の規模は500ラックだ。東北電力から約4000kWの電力供給を受け、サーバに供給する。空調用に1万2000立方メートルの雪を利用し、外気と組み合わせることで、年間を通じて28℃を維持する計画だ」(同氏)。

 長岡市は豪雪地帯に認定されているものの、データセンターの立地ではそれほど降雪が多くないのだという。「計画段階では必要な雪が集まるのかという疑問もあった。2015年と同等の降雪量があれば、1万2000立方メートルの雪を冬期に集めることができる」(同氏)。

排熱も使い尽くす

 省エネルギー面での特徴はもう1つある。データセンターの排熱を一次産業へ利用することだ。水耕栽培や水産養殖に必要な熱を供給する(図5)。

図5 排熱を有効利用するデータセンターの仕組み

 「植物工場を手掛ける企業は全国で約420社と多いものの、成功しているのはそのうち10%程度だ。当社は熱供給を条件に、事業者を募っており、参加していただける企業には出資する予定だ」(同氏)。農産物の流通に注目し、加熱に必要な費用負担を取り除くことで、事業が成功する確度を上げることができるとした。

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