電力会社の業績悪化が第1四半期から始まった、7社が営業利益を減らす電力供給サービス(1/2 ページ)

電力会社10社の2016年4-6月期の決算がまとまった。売上高は10社合計で前年比12%減、営業利益は29%減に落ち込み、第1四半期から苦しい状況でスタートを切った。10社のうち7社の営業利益が減少する一方で、原子力発電所を再稼働させた九州電力は167億円の大幅な増益を果たした。

» 2016年08月01日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 V字回復に向かっていた電力会社の業績に早くも陰りが見えてきた。2015年度には東京電力をはじめ10社のうち6社が増益を果たしたが、2016年度の第1四半期(4-6月期)は一転して7社が減益に見舞われた。小売全面自由化の影響もあり、売上高は10社の合計で5914億円も減少した。

 売上高が最も大きく落ち込んだのは東京電力で、前年から18.5%も減っている。次いで中部電力が15.2%減、関西電力が10.8%、東北電力が10.6%減になり、上位4社が軒並み2ケタの減収に陥った(図1)。

図1  電力会社10社の2016年4-6月期の売上高・営業利益(連結決算)と販売電力量

 各社の業績に大きな影響を与えたのは燃料費だ。ただし以前のように費用を増加させたわけではない。燃料の輸入価格の低下が売上を減少させる方向に働いた。最大の影響を受けた東京電力の売上高を見ると、燃料の輸入価格の変動に伴って電気料金に上乗せする「燃料費調整額」が前年に比べて2630億円も少なくなっている(図2)。売上高の減少分2866億円の大半を占めた。

図2 東京電力の売上高の内訳(連結決算)。出典:東京電力ホールディングス

 関西電力でも燃料費調整額の減少が990億円も発生して、売上高の減少分886億円を大幅に上回った(図3)。一方で費用面でも燃料費の減少分が741億円になり、コスト削減に貢献している。ただし売上を減らす影響のほうが大きいために、利益も減る結果をもたらした。

図3 関西電力の収益と費用の内訳(個別決算、画像をクリックすると拡大)。出典:関西電力
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