小水力発電所を65年ぶりに全面改修、別荘地の自家用から売電用へ転換:自然エネルギー(2/2 ページ)
プリンスホテルが「軽井沢千ヶ滝別荘地」の開発を始めたのは100年近く前の1918年にさかのぼる。当時は地域内に電力源が存在しなかったことから、別荘地の自家用発電設備として1924年に湯川に近い「東区」で小水力発電所の建設に着手した(図3)。しかし実際に運転を開始できたのは終戦後の1951年になってからである。
図3 「軽井沢千ヶ滝別荘地」の風景(上)、区画(下)。出典:西武プロパティーズ
当初は周波数50Hz(ヘルツ)の電力を別荘地内の住宅や施設に供給していた。その後に周辺のグループ施設にも電力を供給するため、1986年に60Hzの電力を供給する方式に変更した。長野県は中部電力の管内で、地域の送配電ネットワークを通じて電力を供給するには60Hzで送電する必要がある。今回の全面改修では発電所から電力を送り出す配電線も刷新した。
プリンスホテルは全国に展開するホテルの敷地内や周辺の土地を利用して太陽光発電にも取り組んでいる。現在は北海道から宮崎県まで5カ所のメガソーラーを運転中で、発電能力を合計すると6MW(メガワット)になる。プリンスホテルが属する西武グループ全体では12MWに達して、年間の発電量は1244万kWhにのぼる(図4)。
図4 西武グループのメガソーラーの所在地(上、画像をクリックすると拡大)、年間想定発電量(下)。出典:西武ホールディングス
小水力発電で4万世帯分の電力、長野県が基幹の農業用水路を調査
小水力発電の導入量で全国第1位の長野県が農業用水路を活用した発電設備の拡大を図る。総距離が700キロメートルに及ぶ基幹の農業用水路を対象に調査したところ、164カ所に合計で2万5000kWを超える発電設備を導入できることがわかった。一般家庭で4万世帯分の電力使用量に相当する。
80年前に稼働した水力発電所を再生、湖からの水流で1万1600世帯分の電力
1800年代から電線の製造を続ける古河電気工業が栃木県の日光市で運営する水力発電所を使って売電事業に乗り出す。80年前に稼働した水力発電所の設備を更新して11月1日に売電を開始する予定だ。同じ市内で稼働する合計4カ所の水力発電所を増強しながら売電量を拡大していく。
101年前の水力発電所を再生、奈良の山奥で小水力に挑む
過疎に悩む奈良県の東吉野村で小水力発電所を建設するプロジェクトが進んでいる。101年前に運転を開始した水力発電所が廃止されて50年以上を経過したが、村の活性化を目指して発電所の復活に取り組む。古くなった水路を再利用してコストを抑える一方、市民ファンドで建設資金を集める。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.