従来にないサービスの創造を目指して、東京電力はグループで保有するビッグデータを活用した新事業の開発プロジェクトをインターネット上で開始した。164カ所の水力発電所や1600カ所にのぼる変電所の設備のデータなどを公開して、集まったアイデアをもとに事業を共同で開発していく。
東京電力ホールディングスがビッグデータを活用した新サービスの提案を8月5日から募集中だ。インターネットを使って一般から広くアイデアを募り、共同で事業を開発していく手法を採用した。2016年2月に開設した「TEPCO CUUSOO」の仕組みを利用する(図1)。
提供するビッグデータは当初6種類を用意した。東京電力が保有する水力・風力・太陽光発電所と変電所に関するデータのほか、東京電力管内の再生可能エネルギー発電設備のデータ、管内の9エリアの電力需給状況や停電情報を含む(図2)。今後もデータの種類を増やしながら、事業のアイデアを幅広く集める方針だ。
応募のプロセスは「TEPCO CUUSOO」のウェブサイトでアカウントを登録してから、アイデアを書いて送信することでスタートする(図3)。その後に東京電力ホールディングスから結果のメールが届いて、採用された場合にはミーティングへ進む。ミーティングはインターネット上でも可能だが、詳細に検討する段階では個別に面談の場を設ける見通しだ。
すでに「TEPCO CUUSOO」では2つの分野でアイデアの募集が始まっていて、ビッグデータの活用は3番目になる(図4)。1つ目は東京電力グループが抱える課題を解決するための技術のアイデアである。たとえば水力発電所の水路に浮遊した落ち葉を自動で除去する技術を募集中だ。
2つ目は資材の調達で、高品質の資材やサービスを低コストで調達することが目的になる。現在は送配電設備に使うケーブルなどの提案を募集しているところだ。いずれのテーマでも応募数は増えている(図5)。新たに開始したビッグデータの活用プロジェクトがどのくらいのスピードで実現するのか注目したい。
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