夏の電力供給に太陽光と風力が貢献、東京電力の管内で377万kWに電力供給サービス(1/2 ページ)

今年の夏も電力の需給状況は全国で安定していた。最大の需要を抱える東京電力の管内でも、8月7日に最高気温が37度に達して今夏の最大電力を記録したが、需給率は92%に収まった。昼のピーク時にも太陽光と風力が供給力の7%以上にあたる377万kWの出力を発揮して火力発電の増加を抑えた。

» 2015年09月29日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 東日本大震災から4年が経過して、もはや原子力発電所の運転停止が電力の需給状況を脅かさないことは誰の目にも明らかになった。8月に予備率(需要に対する供給力の余裕)が危険水準の3%を切る予測を出していた関西と九州でも需給状況は安定していた。東京電力が9月25日に公表した今夏の需給状況の報告を見ると傾向がわかる。

 今年は8月上旬に全国各地で猛烈な暑さになり、東京電力の管内では8月7日(金)に最高気温が37.0度に達した。前年の最高値を1.3度も上回り、平年と比べて6度も高かった。当然ながら家庭や企業の冷房需要が増加して、昼間の13時台に今夏の最大電力を記録した(図1)。

図1 2015年7月1日〜8月31日の最大電力と需給率。出典:東京電力

 それでも4957万kW(キロワット)にとどまり、今夏の最大電力の予測(5090万kW)を100万kW以上も下回っている。当日の供給力は5371万kWを確保できていたために、需給率(需要に対する供給力の比率)は92.3%に収まった。しかも供給力は事前の予測値(5650万kW)と比べて279万kW少なくて済んでいる。

 ここで注目すべきは供給力の内訳である。全体で5371万kWのうち、火力は3384万kWで63%に過ぎない(図2)。一部の火力発電所で補修による計画外の運転停止が発生したほか、需要が増えた時に出力を引き上げる予定だった火力発電所でも対応は不要だった。というのも、管内の太陽光と風力による発電設備からの受電分が想定を大きく上回って377万kWもあったからだ。

図2 最大電力が発生した7月8日の需給状況。出典:東京電力

 夏の電力需要と太陽光発電の出力は比例する場合が多く、晴天による冷房需要の増加があっても同時に太陽光発電の発電量が増える。2014年の夏も東京電力の管内では最大電力を記録した8月5日に192万kWを太陽光発電で供給することができた。その後の1年間に太陽光発電設備が大幅に増えたことで、2015年は2倍近い規模の電力をピーク時に太陽光で供給できるようになった。

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