震災前後の供給力を比較すると、過去5年間に電源構成が大きく変化した様子が明確にわかる。2010年には全体の2割近くを原子力が占めていたが、その分は2015年の需要が1000万kW以上も減少したことで相殺できている(図3)。
一方で火力発電はガス(LNG:液化天然ガス、LPG:液化石油ガス)と石炭が増えた代わりに石油が大幅に減って、合計すると震災の前後でも同程度の水準に収まった。節電による需要の減少と太陽光による供給力の増加で、原子力の運転停止分を問題なくカバーできている。
東京電力の分析では、2010年の夏と比べて2015年の最大電力は平日の平均値で950万kW程度も少なくなった(図4)。2014年の夏は880万kW程度の減少だったことから、この1年間で70万kWの節電効果が上積みできたと言える。
今後も空調と照明をはじめ電気製品の消費電力は低下して電力の需要は減り続ける。同時に太陽光を中心に再生可能エネルギーによる電力の供給力が増えて、火力発電に対する依存度は下がっていく。この傾向は東京電力に限らず、全国の電力会社に共通する。電力を安定供給する観点で原子力の必要性が薄れたいま、放射能汚染のリスクを負ってまで再稼働する理由を政府と電力会社は国民に改めて説明しなくてはならない。
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