IoTで複数の浄水場を統合制御、節電量を使ったビジネスも視野にエネルギー管理(1/2 ページ)

横河ソリューションサービスと関西電力は、滋賀県内にある4カ所の浄水場ポンプ設備をIoTで統合制御する事業の可能性調査に着手する。需給予測にもとづく浄水場ポンプ設備の最適な運用管理による省エネと、その節電量を活用したアグリゲーションビジネスの可能性を検証する狙いだ。

» 2016年09月23日 11時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 横河電機のグループ会社で国内の制御機器事業を担う横河ソリューションサービスは2016年9月16日、経済産業省の公募事業「滋賀県内浄水場の群制御によるアグリゲーター 事業化可能性調査」の実施事業者に採択されたと発表した。

 同調査は横河ソリューションサービスが経済産業省の「平成28年度地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金(構想普及支援事業)」に応募し、採択されたもの。共同応募者の関西電力と共同で、滋賀県内にある複数の浄水場ポンプ設備を統合制御し、省エネおよびアグリゲーションビジネスの可能性を検証する。

 滋賀県は琵琶湖から4カ所の浄水場で取水し、上水道(8市2町)、工業用水道(60社)に水を供給してる。日本最大の面積と貯水量を誇る琵琶湖を水源に持つことから水量に恵まれているが、供給地域の標高が水源より高い。そのため導水、送配水網において多くのポンプ動力が必要になり、稼働に多くのエネルギーコストを要している。

 今回実施が決まった調査では滋賀県の協力のもと、横河ソリューションサービスが、IoT(Internet of Things)を活用し、既存の浄水場設備におけるポンプ群の稼働実績データから水と電力の需要を予測する。それに伴い、どの程度水の需給調整が可能かを算出する。

 さらにこの算出情報をもとに、「馬渕浄水場」(近江八幡市)、「吉川浄水場」(野洲市)、「水口浄水場」(甲賀市)、「彦根浄水場」(彦根市)の異なる市に位置する4カ所の浄水場のポンプを、エネルギーマネジメントシステム(EMS)で統合制御した場合のネガワット総量(節電量)を算出する(図1)。

図1 EMSを活用した浄水場ポンプ設備の管理イメージ 出典:横河電機
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