人間や動物の排泄物を資源に利用するバイオマス発電では、微生物を使ってメタン発酵させてガスを作る方式が一般的である。この方式だと発酵の設備が必要になるほか、発酵時に熱を加える必要があるために多くのエネルギーを消費する。それと比べて鶏の糞を利用したバイオマス発電は通常の火力発電と同様の設備で済む利点がある(図4)。
十文字チキンカンパニーのバイオマス発電所では、周辺地域からトラックで運んできた鶏の糞を受入口から流し込み、クレーンとコンベアを使って焼却用のボイラーまで搬送できる仕組みになっている(図5)。
ボイラーで糞を燃焼した熱を使って、水から蒸気を発生させてタービンと発電機を駆動して発電する(図6)。と同時に糞を燃焼した後に排出する灰を回収して再利用することができる。鶏の糞を焼却した灰には、農作物の成長に必要なリンやカリウムを多く含んでいる。肥料として販売できるため、灰をフレコン(フレキシブルコンテナバッグ)に袋詰めする装置も備えた。
1日に400トンの鶏の糞を焼却すると、そのうち1割にあたる40トンの灰が発生する。これをフレコン(1袋で500〜800キログラム)に詰めてトラックで搬出する流れだ。主に全農(全国農業協同組合連合会)グループの肥料部門に販売する。鶏の糞を利用して再生可能エネルギーの電力を作りながら、地域のバイオマス資源を循環させることが可能になった。
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11万頭の牛がいる北海道の町に、排せつ物を利用したバイオガス発電Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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