改正FIT法で対応必須、今後抑えるべき太陽光O&Mのポイントとはスマートジャパン主催 セミナーレポート(2/2 ページ)

» 2016年10月21日 07時00分 公開
[スマートジャパン]
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どういったO&Mを行うべきなのか

関口氏

 市村氏に続いては、Looopの関口義夫氏が登壇した。テーマは「太陽光発電で実際に起きた障害事例と対処法」。太陽光発電設備メーカーとして、あるいは発電所オーナーとして、様々な形で太陽光発電事業に関わってきた同社。これまでの経験に基づいたO&Mのポイントについて解説した。

 関口氏はまず、故障原因追及のプロセスを整理した。固定障害においては、現象の把握ができれば障害処理の50%は完了したようなものだとした上で、思い込みで原因を即断することの危険性を例示。考えられる故障原因に優先順位をつけ、優先度に従ってトラブルシューティングを図っていくことの重要性を説いた。また、間欠障害については、限られた情報から現象を把握しなければならないとして、そのポイントを示した。また、パワーコンディショナ、キュービクル、接続箱など、それぞれの機器に起こりがちな事故事例を対処法とともに紹介した。

末永氏

 セミナーの締めを担ったのは、Looopの末永展行部長。具体的な障害事例とO&Mに必要な要件などについて、「これで解決! 太陽光発電所O&Mサービス事例」と題してスピーチした。末永氏は、改正FIT法による“義務化”ということに関わらず、太陽光発電設備のO&Mは、発電効率の低下を抑える意味からも不可欠だと力説。メンテナンス不備による障害が売電ロスに直結する事例を列挙した。

 末永氏は、O&Mを次のように定義する。O&M=「監視」+「保険」+「保守」。監視において重要なのは、日々の発電量や売電状況をどこにいてもリアルタイムに把握できること。保険は火災や自然災害に対応し、売電利益の損失リスクを補い、第三者に対する損害賠償責任が発生した場合にもカバーしてくれるものでなければならない。保守については、定期点検と災害発生時の対応が一体となったサービスであることが求められるという。O&Mの要件として「保険」を組み込む末永氏の発想は、太陽光の事業性を高め、“安定した投資回収をしたい”というニーズに応えるものとして、これからの常識となるだろう。

 セミナーは、質疑応答と活発な意見交換をもって幕を閉じた。参加者は、太陽光発電事業に携わるプロ中のプロばかり。改正FIT法への対応とO&Mのこれから考える、貴重な機会となったようだ。

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