「太陽光」「燃料電池車」「外部給電」、ホンダがミニ水素社会を実験電気自動車(2/2 ページ)

» 2016年10月26日 13時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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太陽光発電とも組み合わせた

 今回の実証実験は、環境省の「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の一貫。ホンダが開発した独自のSHSを用いて、同社単独で実証実験を進める。2018年3月まで、さまざまな検証を重ねる。

 実証実験の特徴は、充填圧を70MPaまで高めた他にもう1つある。再生可能エネルギー由来の電力を用いることだ。同社の設備は水素を現地で製造するため、水素の運搬インフラを必要としない。再生可能エネルギーを利用すれば、電力のインフラも不要になる可能性がある。

 「出力20キロワット(kW)の太陽電池モジュールを設置し、晴天時には1日当たり水素を2.5kg製造できる計算だ」(同社)。

 実際には太陽光を利用できない可能性があるため、交流の系統電源も利用する。「実証実験では燃料電池車側というよりも、主に装置側を調べる。水素の製造効率や太陽電池の稼働率の他、季節などの環境条件が70MPa SHSにどのような影響を与えるのかを調べる」(同社)。

 燃料電池車側の検証内容は主に2つ。燃料電池車の運用による二酸化炭素(CO2)削減効果の測定と、外部給電の実証だ。

 実証実験では70MPa SHSを1基、CLARITY FUEL CELLを1台用いる*4)。さらに同車に搭載する可搬型外部給電器「Power Exporter 9000」を組み合わせて利用する。

 「CLARITY FUEL CELLを導入している自治体では、緊急時の給電用途にPower Exporter 9000を併用していることが多い。このため、実証実験でも組み合わせた。今回は、東京テレポートセンターが実証実験に協力する形だ」(同社)。

*4) 「今回の実証実験ではCLARITY FUEL CELLのみを用いるが、70MPa充填では、業界標準の充填プロトコルに準拠している。機能としては他社の燃料電池車にも供給可能だ」(同社)。

蓄電池は使わない

 再生可能エネルギーを水素と組み合わせて利用する場合、太陽光などの変動を吸収するために蓄電池を導入する事例が多い。

 「今回の実証実験では蓄電池を利用していない。蓄電池を導入することによるコスト上昇や、蓄電池の内部放電による電力ロスを考えて、メリットが少ないと判断した」(同社)。水素自体をエネルギーの缶詰(蓄エネルギー装置)として利用する考え方だといえるだろう。

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