下水熱利用に新ジャンル、消毒槽の熱で空調を省エネに自然エネルギー(1/2 ページ)

関西電力と積水化学は大津市内の下水処理場で、下水熱利用を目的とした実証実験を開始した。下水処理場内にある消毒槽から熱を取り出し、空調設備のエネルギーとして活用する全国初の事例になるという。

» 2016年11月22日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 関西電力、大津市、積水化学工業(以下、積水化学)は2016年11月18日、大津市企業局の「水再生センター」(大津市由美浜)で下水熱利用の実証実験を開始したと発表した(図1)。下水熱を活用して、空調設備のエネルギーとして活用する。

図1 「水再生センター」の外観 出典:大津市

 地下を流れる下水は年間を通じて一定以上の温度を維持している。外気温度と比べると、冬は暖かく、夏は冷たいという特性がある。こうした下水の熱を取り出し、さまざまな設備で利用することで省エネが図れる。

 一般的な下水熱事業では、下水道管網を流れる下水や、処理場において処理された後の処理水の熱を活用する場合が多い。しかし今回の実証事業は、下水処理場内にある「消毒槽」で処理する過程の下水を活用するのが特徴となっている。安定した水量を確保できることに着目したという。

 実証では消毒槽の底部に積水化学が開発した熱回収管を設置する。熱回収管の内部には熱媒体が流れており、これで消毒槽内の処理水から熱を回収する。その後、熱媒体をヒートポンプユニットに送って熱を取り出し、これを汚泥処理棟監視室内の空調エネルギーとして利用する仕組みだ(図2〜4)。下水処理場内の消毒槽の処理水から熱を取り出し、空調のエネルギーとして利用するのは全国初の事例になるという。

図2 (クリックで拡大)出典:積水化学
図3 消毒槽の外観/図4 設置した熱回収管 (クリックで拡大)出典:積水化学
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