2017年度の買取価格が大筋で決まる、太陽光発電は2円の引き下げ案が有力自然エネルギー(1/3 ページ)

固定価格買取制度の改正に合わせて、2017年度の買取価格の検討が政府の委員会で急ピッチに進んでいる。太陽光発電では住宅用・事業用ともに2円程度を引き下げる方向だ。大規模な太陽光発電に適用する入札方式の実施規模も確定した。風力発電は2019年度までの3年間に4円程度を低減していく。

» 2016年12月06日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 毎年度の買取価格を検討する政府の「調達価格等算定委員会」は12月5日に開いた会合で、2017年度の買取価格の算定基準を決定した。これをふまえて12月13日に開く次回の委員会で具体的な買取価格案をとりまとめる予定だ。

 固定価格買取制度では直近の発電設備の資本費と運転維持費、さらに発電量を左右する設備利用率(発電設備の出力に対する実際の発電量)などをもとに、次年度の買取価格を決定する仕組みになっている。このうち資本費の多くを占める発電システムの直近の価格が最も大きな要素を占める。

 出力が10kW(キロワット)以上の事業用の太陽光発電では、平均よりも効率の高い設備のシステム価格を適用するトップランナー方式が基準になる。政府が調査したデータのうちシステム価格の低い順から上位25%の値を採用する(図1)。2016年は出力1kWあたり24.4万円を適用することが決まり、前年の25.1万円から3%下がる。

図1 事業用の太陽光発電(出力10kW以上)のシステム価格分布(2016年)。出典:資源エネルギー庁

 さらに設備利用率が14%から15.1%に上昇して発電量が増える(図2)。最近は太陽光パネルの価格が低下したことによって、発電した電力を変換するパワーコンディショナーの能力よりも太陽光パネルの容量を大きくする「過積載」と呼ぶ傾向が進んだためだ。設備利用率の上昇で年間に売電できる電力量は7%増加する。

図2 太陽光発電(出力10kW以上)の設備利用率。出典:資源エネルギー庁

 システム価格の3%低下と発電量の7%増加を考慮すると、2017年度の買取価格は現行の24円から2円下げて、22円とする案が有力である(図3)。政府は2020年度に16円まで低下させることを目指している。今後も毎年度に2円程度の引き下げを続けていく見通しだ。

図3 2016年度の太陽光発電の買取価格を算定した時の基準値(画像をクリックすると拡大)。IRR:内部収益率。出典:資源エネルギー庁

 出力が10kW未満の住宅用の買取価格も引き下げていく。従来は住宅用の太陽光発電のシステム価格は直近の実績の平均値を適用してきたが、2017年度から事業用と同様に上位25%のトップランナーの数値を採用する方針だ。2016年の実績では出力1kWあたり30.8万円になっている(図4)。一方で平均値は35.3万円で4.5万円も開きがある。

図4 住宅用の太陽光発電(出力10kW未満)のシステム価格分布(2016年)。出典:資源エネルギー庁

 政府は2019年度の買取価格を家庭向けの電気料金の水準24円まで低減することを目標に掲げている。その場合のシステム価格は1kWあたり30万円を想定している。直近の上位25%にあたる30.8万円を2019年度の想定値に採用したうえで、2017年〜2019年度の3年分の買取価格を一括に決定する方針だ。

 そうすると現行の住宅用の買取価格31円(出力制御対応機器が不要の場合)から2017年度には29円、2018年度に27円、2019年度に25円へ引き下げていく案が妥当だろう。買取価格が電気料金の単価に近づくと、売電と自家消費のメリットが同等になる。

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