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» 2016年12月13日 09時00分 公開

エネルギー列島2016年版(34)広島:遊園地がメガソーラーに、島にはCO2の少ない石炭火力発電所 (3/3)

[石田雅也,スマートジャパン]
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木質バイオマスを45%混焼する石炭火力発電所

 広島県の再生可能エネルギーは太陽光発電と小水力発電に加えて、バイオマス発電の導入量も増えてきた。固定価格買取制度の認定を受けて運転を開始したバイオマス発電設備の規模は全国で11位に入る(図9)。その中でも林業が盛んな地域の資源を生かして、木質バイオマス発電の導入が進んでいる。

図9 固定価格買取制度の認定設備(2015年11月末時点)

 木質バイオマスと石炭を混焼する大規模な発電所の建設プロジェクトがある。広島ガスがLNG(液化天然ガス)の基地の構内に、発電能力11万2000kWの「海田(かいた)バイオマス混焼発電所」を建設する計画だ(図10)。2017年に着工して、2019年に運転開始を予定している。

図10 「海田バイオマス混焼発電所」の完成イメージ。出典:広島ガス

 地域の林地残材や海外から輸入する木質バイオマスを年間に26万トン利用する。さらにコストの安い石炭を32万トン、補助燃料として天然ガスを1〜2万トン加える予定だ。バイオマスの混焼比率は45%になり、石炭火力発電で問題になるCO2排出量を抑制できる。最先端の発電設備でもCO2排出量は0.8kg-CO2/kWh(キログラム換算CO2/キロワット時)を超えてしまうが、6割以下の0.458kg-CO2/kWhまで低下する。

 石炭火力発電のCO2排出量を低減する試みは、瀬戸内海に浮かぶ大崎上島(おおさきかみじま)でも進行中だ。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援を受けて中国電力とJ-Power(電源開発)が共同で取り組む「大崎クールジェンプロジェクト」である。石炭をガス化してからガスタービンと蒸気タービンで2段階に発電するIGCC(石炭ガス化複合発電)の実証試験設備が2016年8月に運転を開始した(図11)。

図11 大崎上島にある「大崎クールジェンプロジェクト」の実証試験設備エリア(上)、「酸素吹IGCC実証試験発電所」の全景(下)。IGCC:石炭ガス化複合発電。出典:大崎クールジェンほか

 IGCCで発電効率を高めてCO2の排出量を減少させたうえで、排出したCO2を回収して再利用する。最終的には発電に伴って発生する水素まで回収して、燃料電池でも発電するIGFC(石炭ガス化燃料電池複合発電)へ進化させる構想だ(図12)。

図12 「大崎クールジェンプロジェクト」の全体計画。GT:ガスタービン、ST:蒸気タービン。出典:NEDO

 IGFCの実証運転を2021年度まで続けた後に、2025年をめどに発電設備を大型に拡張できる技術を確立する。この時点で発電効率(燃料の熱エネルギーを電力に変換できる割合)は55%に達して、最新のLNG火力発電と同等の水準になる見通しだ。広島県が次世代の石炭火力発電の技術開発をけん引していく。

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2015年版(34)広島:「瀬戸内海の島で太陽光発電、工場や家庭の廃棄物はバイオマスに」

2014年版(34)広島:「メガソーラーの収益を地域に還元、自治体と電力会社が手を結ぶ」

2013年版(34)広島:「石炭火力発電が瀬戸内海の工業地帯で進化、バイオマスと太陽光も後押し」

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