太陽電池のEL検査、その必要性とメリットとは太陽光発電所のトラブル対策(5)(1/2 ページ)

今後ますます重要になっていく太陽光発電所の運用保守。しかし、具体的にどのような点に着目して取り組めば良いのだろうか。本連載では日本で太陽光発電所の運用保守事業を手掛けるアドラーソーラーワークスが、実際の事例を交えながらそのポイントを紹介していく。第5回は太陽電池のEL画像検査について解説する。

» 2016年12月21日 13時00分 公開

 太陽光発電におけるEL(エレクトロルミネセンス)検査とは、太陽電池に電界を印加することにより、半導体内に入った電子と正孔が再結合して発光したものを撮影して、その画像を分析することである。

 電界を印加すると、電気が流れている部分は発光するが、流れていない部分は暗いままである。そのため、外観からは判断できないものの、発電量の低下につながる可能性があるセルのクラック(亀裂)や、インターコネクターの断線・接続不良などを一目で発見できるというメリットがある(図1)。

図1 EL検査によって撮影されたセルの画像。左は正常なセルで、右は断裂(クラック)を含んだセル(クリックで拡大)出典:アドラーソーラーワークス

 従来、研究機関のラボやメーカーの工場などのインラインでしか実施できなかったEL画像の撮影だが、近年は現場でも計測できる機器が複数登場している。こうしたEL検査機を所有するEPCやO&M業者も存在している。

不具合の証明に効果を発揮

 実際の保守の場面において、EL検査はさまざまな不具合を証明するのに適しているが、IVカーブ計測器、サーモグラフィカメラや配線路探査器などで特定することも可能な不具合も多く、現実的には必須とまでは言い難い。

 ただし、不具合の証明には有効である。メーカーとの交換交渉において、EL画像によって不具合が明確化できる場合は必ず存在するといえる。

図2 不具合の証明の例(バイパスダイオードの不具合)。左はサーモグラフィ画像、右はEL画像によるもの。サーモグラフィ画像より鮮明に不具合が写っていることがわかる(クリックで拡大)出典:アドラーソーラーワークス
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