アドラーソーラーワークスが考える最大のEL検査の意義とは、太陽電池モジュールの将来を予測してその品質を確認できることである。例えばクラックは、その断裂の場所や形状によって、将来発電損失を生じるものと生じないものがある。
下の画像(図3)は、セルに生じたクラックが、将来どのように発電損失を引き起こすかの例である。結晶系のモジュールは、セルにバスバーが敷設されており(下記画像では1セルにつき3本)、バスバーに対して垂直にフィンガーバーが細かく敷設されており、セルで発電した電力をフィンガーバーによってバスバーに運ぶことにより集電している。
セルにクラックが入った場合、経年の外的および内的要因による内部破壊でフィンガーバーが断線する可能性が高く、場所や形により発電の損失を起こす可能性がある。
図4 左側はバスバー(縦方向に3本)とフィンガーバー(横方向に複数)を示したもの。赤は電気の流れを示す。右側はクラックにより出力低下が生じているモジュール。画像中の黒い部分は発電が損失している(クリックで拡大)出典:アドラーソーラーワークスこのEL検査の特性を生かし、欧州では発電所建設の際にモジュールの受入れ検査を実施することが一部で絶対条件になっている。受入検査とは、保全倉庫や建設現場など、モジュールの受け取りのタイミングでEL検査および出力測定を実施するものだ。主要コンポーネントであるモジュールの品質を担保するのに有効な検査である(図5)。
本検査を実施することにより、納品メーカー側にも良い緊張感が生まれ、また、購買条件に本検査による品質基準を設けておけば、低品質なモジュールを発電所に設置することを避けることができる。長期にわたる製品信頼性を担保するには必然であると考える。受入れ検査に代表されるモジュールの品質検査はまだ日本ではなじみが薄いが、中古発電所の売買の市場が活発になってくれば、その需要は大きくなっていくだろう。
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