太陽光発電設備のIVカーブ測定で分かること太陽光発電所のトラブル対策(3)(1/2 ページ)

今後ますます重要になっていく太陽光発電所の運用保守。しかし、具体的にどのような点に着目して取り組めば良いのだろうか。本連載では日本で太陽光発電所の運用保守事業を手掛けるアドラーソーラーワークスが、実際の事例を交えながらそのポイントを紹介していく。第3回はIVカーブ測定について解説する。

» 2016年11月08日 13時00分 公開

 IVカーブ(電圧電流特性曲線)測定は、太陽電池ストリングおよびモジュールの特性変化の把握に有効であり、一般的に太陽光発電システムの点検必須項目として挙げられている検査である。

 このIVカーブ測定における主な実施目的は以下の通りである。

  • 出力を計測する
  • 不具合を発見する
  • 測定した結果をもって発電所の出力そのものを推定する
  • 定期的な計測により経年の出力低下を判断する

 発電所点検における測定範囲は趣旨や目的によって変化する。発電所に設置されているストリング全体から抽出したサンプルの測定結果から全体を類推する場合や、発電不良を前提としたDC側検査のためにストリング100%を測定する場合、サーモグラフィ検査やその他の検査と組み合わせて特定モジュール単体の出力を判断する場合など多岐にわたる(図1)。

図1 検査のイメージ 出典:アドラーソーラーワークス

 なお、O&Mにおける定期点検について、発電量の監視に対して現地環境やストリングなどの詳細なデータが収集できる監視装置が導入されている場合、DCの細かな発電状況が把握できるため、特に奇異な数値が計測されない限り100%のIVカーブ測定が不要なケースがある。

 発電事業者は限られた予算の中で発電所を維持しなければならず、効果的な監視システムにより、平時の発電量の適切な監視や分析が実施できているならば、定期点検などにおいては、効果的に測定範囲や周期を設定してO&Mコストを抑制する方法もある。

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