見えない欠陥を可視化する、サーモグラフィ検査の利点太陽光発電所のトラブル対策(2)(1/4 ページ)

今後ますます重要になっていく太陽光発電所の運用保守。しかし、具体的にどのような点に着目して取り組めば良いのだろうか。本連載では日本で太陽光発電所の運用保守事業を手掛けるアドラーソーラーワークスが、実際の事例を交えながらそのポイントを紹介していく。第2回はサーモグラフィ検査について解説する。

» 2016年09月29日 07時00分 公開

 赤外線カメラなどで実施するサーモグラフィ検査の目的は、電気回路の電気の流れを温度分布により可視化し、欠陥を発見することである。太陽光発電システムの場合、電気の流れは日照などの気象条件に左右されるため、常に一定ではない。そのため、サーモグラフィ検査の結果は測定温度ではなく、異常部分と健常部分の温度差から欠陥を把握するほうが望ましい。

 また、太陽光発電システムにおけるサーモグラフィ検査は太陽電池モジュール(以下、モジュール)に対しての実施が一般的である(図1・2)。しかしモジュールのみならず、接続箱、集電盤、PCS(パワーコンディショナー)、高圧受変電設備など、関連設備の回路の不具合を見つける場合にも有効な検査手法だ。

図1 サーモグラフィによるモジュール接続部(端子)の検査画像 出典:アドラーソーラーワークス
図2 モジュールのPID検査のイメージ 出典:アドラーソーラーワークス

 サーモグラフィ検査は回路の電気の流れに不具合がないかどうかを確認するため、太陽光発電システムが運転している状態で実施する。十分な日射量があることが望ましく、おおむね500W(ワット)/m2(平方メートル)以上の日射条件で測定を実施するのが良いのではないだろうか。

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