見えない欠陥を可視化する、サーモグラフィ検査の利点太陽光発電所のトラブル対策(2)(3/4 ページ)

» 2016年09月29日 07時00分 公開

目視では分からない不具合を捉える

 サーモグラフィ検査で発見される代表的な欠陥は以下の通りである。

  • モジュールのバイパスダイオードの異常
  • モジュールのホットスポット
  • モジュールのPID現象
  • ケーブル接続不良(モジュールのコネクタや延長ケーブル接続部など)
  • 電気設備の端子台の接続不良(ネジの緩みなど)

接続箱のケーブル接続部の不良

 下記の写真(図7)は、サーモグラフィ検査によって接続箱の端子部における接続不良を発見した例である。この例における欠陥部分は工事によって接続された部分ではなく、製造メーカーの造作部分となっている。このことから、端子部の検査範囲はEPCの工事部分だけではなく、機器そのものも含める必要があることがわかる。

図7 接続箱端子部のサーモグラフィ画像と、当該部の溶解の様子 出典:アドラーソーラーワークス

影による温度分布の異常

 サーモグラフィ検査によって得られるモジュールの測定結果には、回路自体の欠陥の他に、外的な要因による温度分布の差異も含まれる。下記の写真(図8)では温度分布の差異が確認されるが、実際にはモジュールの上空に電線が存在しており、その影が抵抗となって表れている。気象状況その他により影の視認が難しいケースも多々あり、検査員は慎重に周囲の状況も含めて観察しておく必要がある。

図8 セルの発熱の他、視覚では認識が難しい影も確認できる 出典:アドラーソーラーワークス

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.