低炭素電力の供給事業者が13社に拡大、東京都のキャップ&トレード制度電力供給サービス(1/2 ページ)

東京都は都内の企業に適用するCO2排出量のキャップ&トレード制度で、排出量の少ない低炭素の電力を供給する事業者13社を認定した。いずれも再生可能エネルギーを多く含む電力を供給する事業者である。都内で再生可能エネルギーの電力が増えて、認定事業者は前年度の4社から大幅に増えた。

» 2017年02月10日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 東京都は温室効果ガスの排出量を抑制するために、2010年度から「キャップ&トレード(総量削減義務・取引)制度」を実施している。年間のエネルギー使用量が原油換算で1500キロリットル以上の事業所を運営する企業を対象に、CO2(二酸化炭素)を中心とする温室効果ガスの排出量の削減義務を課す制度だ。

 この制度ではCO2排出量の少ない低炭素の電力や熱を供給する事業者から購入した場合に、購入した企業は東京都に報告するCO2排出量を削減できる。東京都は2017年度の対象になる電力・熱供給事業者45社を2月7日に公表した。このうち電力の供給事業者は13社が認定を受けている(図1)。

図1 低炭素電力の認定供給事業者(2017年度)のCO2排出係数と再生可能エネルギー導入率。出典:東京都環境局

 低炭素電力の供給事業者になる条件は2つある。第1に電力1kWh(キロワット時)あたりのCO2排出量を示す「CO2排出係数」が0.4kg-CO2(CO2換算キログラム)/kWh以下になること。第2に販売する電力量のうち再生可能エネルギーの導入率が20%以上、あるいは低炭素火力(CO2排出係数0.4kg-CO2/kWh以下)の比率が40%以上であることだ。いずれも2年前の実績値で計算する。

 この2つの条件を満たした事業者から電力を購入すると、都内の企業は各事業者のCO2排出係数に応じて排出量を削減できる。CO2排出係数がゼロの事業者から電力を購入した場合には、CO2排出量を50%も削減できる(図2)。

図2 電力の購入量に対するCO2削減量の割合。出典:東京都環境局

 一般的な企業では電力の購入に伴うCO2排出量が多くを占めるため、東京都が認定した事業者から電力を購入してCO2排出量を削減できるメリットは大きい。一方で東京都は都内で排出するCO2を削減できるのと同時に、再生可能エネルギーによる電力の供給者を増やす効果が期待できる。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.