駅の食品廃棄物から3000世帯分の電力、JR東日本がバイオガス発電へ自然エネルギー(1/2 ページ)

JR東日本グループは駅ビルなどで発生する食品廃棄物を利用してバイオガス発電事業に乗り出す。横浜市の臨海工業地帯にJFEグループと共同でバイオガス発電施設を建設して、2018年8月に運転を開始する予定だ。1日80トンの食品廃棄物からバイオガスを発生させて3000世帯分の電力を作る。

» 2017年03月09日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 JR東日本(東日本旅客鉄道)が駅や駅周辺に展開するショッピングビルは首都圏を中心に160カ所に広がっている。最近では駅構内のスペースを活用したエキナカ事業も拡大中だ。利便性の高い駅の立地を生かして大量の飲食物を毎日販売しているため、食品廃棄物の排出量は極めて多い。廃棄物のリサイクルを推進しながら、バイオガス発電に取り組む新事業が始まる。

 環境関連のプラント設計・施工の実績が豊富なJFEグループと共同で、神奈川県の横浜市に食品リサイクルとバイオガス発電の施設を建設する。JR東日本と子会社の東日本環境アクセス、JFEエンジニアリングと子会社のJFE環境が出資して、事業会社の「Jバイオフードリサイクル」を2016年8月に設立済みだ(図1)。

図1 食品リサイクル・バイオガス発電事業のスキーム。出典:JR東日本ほか

 JR東日本グループの駅ビルやエキナカの店舗、弁当工場から排出する食品廃棄物のほかに、JFE環境が食品メーカーなどから廃棄物を収集してバイオガス発電の原料を提供する(図2)。発電に利用する食品廃棄物は1日あたり最大で80トンにのぼる見込みだ。

図2 食品リサイクル・バイオガス発電事業の運営体制。出典:JR東日本ほか

 横浜市の臨海工業地帯に建設する食品リサイクル・バイオガス発電施設は4つの設備で構成する。食品廃棄物を選別・前処理する「処理棟」、廃棄物をメタン発酵させる「発酵槽」、発酵槽で生成したバイオガスを貯蔵する「ガスホルダー」、バイオガスで発電する「ガスエンジン発電機」を整備する計画だ(図3)。2017年5月に着工して、2018年8月に運転を開始する。

図3 食品リサイクル・バイオガス発電施設の完成イメージ。出典:JR東日本ほか

 ガスエンジン発電機の能力は合計で1800kW(キロワット)になり、年間の発電量は1100万kWh(キロワット時)を想定している。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して3000世帯分に相当する。発電した電力は一部を施設内で消費して、残りを固定価格買取制度で売電する方針だ。かりに1000万kWhを売電できると、年間の売電収入は3億9000万円(税抜き)に達する。

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