SDG&Eが電力を供給する範囲は広い。100万都市サンディエゴを含むサンディエゴ郡と、ロサンゼルス市に隣接するオレンジ郡が対象だ(図4)。領域面積は1万平方キロメートル以上に及ぶ。ほぼ関東地方の面積に等しい。
供給先の電気メーターの数は約140万個、人数に換算すると約360万人に電力を供給している。
図1や図2に示した30MWの蓄電池システムを、サンディエゴ市の北に隣接するエスコンディード市に導入した。これと前後して、サンディエゴ市の東に隣接するエルカホン市にも出力7.5MWの蓄電池システムを導入。合計出力は37.5MWとなった。
再生可能エネルギーについて、米国では連邦政府ではなく、各州が主導権を握っている。目標とする導入比率は州ごとに異なり、政策手法も違う。
カリフォルニア州の目標は、2020年までに33%、2030年までに50%の電力を再生可能エネルギーから得るというもの(図5)。*2)。
*2) 全米50州のうち、27州が電力に占める再生可能エネルギー比率について政策目標を定めている。最も意欲的なのはハワイ州(2045年に100%)。次いでバーモントン州(2032年に75%)、カリフォルニア州(2030年に50%)だ。人口10位以内の州ではテキサス州(人口2位)とフロリダ州(3位)、ジョージア州(8位)が目標を定めていない。なお、日本政府は2030年に再生可能エネルギーで「22〜24%程度」の電力をまかなうという目標を打ち出している。
カリフォルニア州内には州全体の目標よりも高い数値を掲げる自治体がある。例えばサンディエゴ市だ*3)。2035年には電力の全てを再生可能エネルギーから得る政策目標を打ち出している。
*3) 再生可能エネルギーで電力の100%をまかなう政策目標を掲げている州内の自治体は以下の通り。サンフランシスコ市(2020年)、サンノゼ市(2022年)、ランカスター市(2025年)、サンディエゴ市(2035年)、パロアルト市(期限未定)。
カリフォルニア州の再生可能エネルギー導入量は、目標に沿った水準にある。2016年通年で風力から6.9%の電力を得た(全米では5.5%)。2016年通年の実績は未発表ながら、全米一の太陽光の発電規模を誇る*4)。
こうした中、同州の公共事業委員会(CPUC:California Public Utilities Commission)が2016年に指令を下した。SDG&Eを含む全てのIOUに対して、地域の電力の信頼性を高めるため、エネルギー貯蔵システムを追加し、早期に着工することを求めた内容だ。
SDG&Eは既に交渉を進めていたAES Energyとの契約を急ぎ、合計37.5MWの蓄電システムを立ち上げた形だ。
同社はカリフォルニア州が掲げる「2020年に33%」という目標を既に達成しており、今後の目標を達成するためにも蓄電システムへの投資を続ける考えだ。
2030年までにリチウムイオン蓄電池などを用いて、330MW以上の蓄電システムを導入する。同社によれば欧米における最も大規模な計画なのだという。
*4) 2017年3月8日時点で、累積導入量は4458MW。
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