電力安定化の決め手か、米国最大規模のレドックスフロー型蓄電システムを実証蓄電・発電機器(1/2 ページ)

住友電気工業グループは、米国で大規模蓄電池システム技術として注目を集めるレドックスフロー電池の実証を行う。

» 2016年05月31日 13時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 住友電気工業(住友電工)グループは、米国大手電力会社であるSan Diego Gas and Electric(以下、SDG&E社)とレドックスフロー電池として米国で最大規模となる蓄電システムに関する実証実施契約を締結した。今回の実証事業は、住友電工グループが新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)から委託を受け、実施するもの(関連記事)。

 レドックスフロー電池とは、セルの積層部分と電解液の入った巨大なタンクから構成される電池のことで、タンク容量が大きければ大きいほど多くのエネルギーを得ることができる。バナジウムの電解液をポンプで循環させて充放電することが特徴となる。エネルギー密度は高くないものの、安全性が高く、大容量でサイクル寿命が比較的長いということが利点となる(図1)。

photo 図1 レドックスフロー電池の基本原理 出典:住友電工

 既存の送配電網を前提に、再生可能エネルギーの導入を増やすためには、変動を吸収する「調整力」の増強が必須である。大規模蓄電システムの構築が可能なレドックスフロー電池は、この調整力として期待が大きい。住友電工では既に、国内では、北海道電力と協力し、「大型蓄電システム緊急実証事業」として、南早来変電所において世界最大規模のレドックスフロー電池の実証事業を開始(関連記事)(図2)。今回は米国にもこの実証を拡大し、レドックスフロー電池の世界的な利用を推進していく方針だ。

photo 図2 レドックスフロー電池を使って太陽光・風力発電の出力変動を抑制する仕組み。出典:北海道電力、住友電気工業
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