電力安定化の決め手か、米国最大規模のレドックスフロー型蓄電システムを実証:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
今回住友電工グループが委託を受けたのは、米国大手電力会社であるSan Diego Gas and Electric(以下、SDG&E社)を実証パートナーとして行う、米国最大規模となるレドックスフロー電池を用いた蓄電システムの実証事業である。
米国カリフォルニア州は、高い再生可能エネルギー導入目標(2020年に33%)を掲げおり、太陽光発電の増加による朝夕の急激な需要変動や電力品質劣化の問題が顕在化している。州法「AB2514」で系統におけるエネルギー貯蔵システムの導入目標が義務化されており、大規模な系統用蓄電池導入が電力会社には求められている。レドックスフロー電池は、このような問題の有力な解決手段の1つとして期待されているという(図3)。
図3 レドックスフロー電池のイメージ(横浜製作所に設置しているもの)出典:住友電工
今回の実証事業では、SDG&E社変電所内に住友電工製レドックスフロー電池(2メガワットx4時間)を設置。送電・配電併用運転による経済価値向上について検討する。2016年秋から配電網において実証運転を開始し、多用途利用による検証を行う。さらに送電網へ接続しアンシラリーサービス(周波数や電圧の制御、緊急用の予備電力確保といった電力サービス)の提供による、経済価値向上などについても検討する。
住友電工グループでは、レドックスフロー電池の有用性を実証することにより、米国市場における活用促進を図る方針を示している。
- 火力発電の最先端技術を2021年までに確立、CO2削減へ開発を加速
政府は2030年のCO2削減目標を達成するために、次世代の火力発電技術の開発を急ぐ。技術開発のロードマップを6月中に改訂して、官民一体で実用化に取り組んでいく。石炭火力は高効率のガス化複合発電へ、LNG火力は燃焼温度を高めたガスタービン発電機を開発して世界をリードする戦略だ。
- 第3世代は水素も生かす、3段階で発電するトリプルコンバインド
水素を使って発電できる燃料電池が火力発電と合体する。10年後の2025年に実用化を目指す第3世代の火力発電は、ガスタービン・蒸気タービン・燃料電池の3種類を組み合わせたトリプルコンバインドサイクルが特徴だ。CO2の排出量は現在の第1世代と比べて2〜3割も減少する。
- 大型蓄電池の国際標準化が進む、太陽光や風力を後押し
太陽光発電や風力発電で大きな課題になっているのが、天候による出力変動の影響である。巨大な蓄電池を使って電力を充電・放電すれば出力を安定させることができる。世界各国で大型蓄電池の需要が高まり、国際標準化の動きが進んできた。蓄電池で重要な安全性の標準規格を日本が主導する。
- 水素エネルギーで世界をリードする国家戦略、化石燃料に依存しない社会へ
将来に向けた日本のエネルギー戦略の中で重要な役割を担う水素・燃料電池のロードマップがまとまった。定置用燃料電池、燃料電池車、水素発電の3つの分野を対象に、2050年までの目標と重点施策を掲げる。国の総力を挙げて、化石燃料にも原子力にも依存しない水素社会の実現を目指す。
- 「水素ステーションが全然足りない」国にさらなる規制緩和を求める要望書
東京都ら九都県市は、2014年6月に政府が定めた「水素・燃料電池戦略ロードマップ」に対し水素ステーションの設置などが大幅に遅れている現状から、これらの取り組みを加速させる追加施策を求める要望書を政府に対して提出した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.