2015年度のCO2排出量は2.9%減、再エネ普及や原発の再稼働が後押しかエネルギー管理(1/2 ページ)

環境省と国立環境研究所は、2015年度における日本の温室効果ガス排出量の確報値を発表した。それによると、総排出量はCO2換算で前年度比2.9%減となる13億2500万トンとなった。

» 2017年04月20日 07時00分 公開
[庄司智昭スマートジャパン]

再エネ拡大、原発の再稼働が要因

 環境省と国立環境研究所が2017年4月に発表した日本の温室効果ガス排出量の確報値*)によると、2015年度の温室効果ガスの総排出量はCO2換算で13億2500万トンとなった。対前年度比では2.9%減、2005年度比では5.3%減である。省エネの進展や再生可能エネルギーの導入拡大、原子力発電の再稼働などを減少要因として挙げた。

*)確報値とは日本の温室効果ガスの排出、吸収目録として気候変動に関する国際連合枠組み条約事務局に正式に提出する値である。各種統計データの年報値の修正や算定方法の見直しにより、確報値が再計算される場合があるという。

 2005年度比では、冷房分野でハイドロフルオロカーボン類(HFCs)の排出量が増加した一方、産業や運輸部門におけるエネルギー起源のCO2排出量が減少したという。

日本の温室効果ガス排出量 (クリックで拡大) 出典:環境省、国立環境研究所

 今回とりまとめた内容は、2016年12月に公表した速報値の算定以降に利用可能となった各種統計に基づき排出量の再計算が行われている。より正確な算定ができるよう一部の算定方法の見直しも行ったため、速報値との間で差異が生じている。速報値での2015年度の温室効果ガス排出量は前年度比3.0%減の13億2100万トンだった。

 また2015年度における日本の吸収源活動による排出、吸収量は5880万トンである。森林吸収源対策による吸収量が5010万トン、農地管理や牧草地管理、都市緑化活動による吸収量が860万トンだ。この吸収量は京都議定書第8回締約国会合の決定に従い、京都議定書に基づく吸収源活動による排出、吸収量を算定したものとしている。

用途別のCO2排出量

 用途別のCO2排出量をみると、発電所や石油製品製造業などの「エネルギー転換部門」が前年度比6.4%減と最も大きく、「家庭部門」が同5.1%減と続く。「産業部門」「業務その他部門」は同3.1%減少。「運輸部門」は同1.7%減にとどまった。

用途別のCO2排出量 (クリックで拡大) 出典:環境省、国立環境研究所
用途別のCO2排出量の推移 (クリックで拡大) 出典:環境省、国立環境研究所

 2005年度との比較では、業務その他部門のみ11.1%増と増加している。火力発電の増加による電力の排出原単位が悪化したことや、延床面積の増加を要因に挙げた。

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