アウディジャパンブースでは、レベル4自動運転機能を持つSUVタイプのEVコンセプトモデル「Audi Elaine concept」を披露。フロントアクスルに1つ、リヤアクスルに2つのモーターを設置し、4輪全てを駆動するAudi伝統の「quattro」モデルに仕立てた。3つのモーター合わせて320kW(ブーストモードでは370kW、800Nm)の出力を発揮し、500kmを超える走行距離を可能にするという。バッテリー容量は95kWhであり、急速充電や、ワイヤレス充電にも対応している。
このElaineは自動運転に関する技術と法規制の醸成を待って、2019年にSUVスタイル、2020年にクーペスタイルで市販車としての生産開始を予定しているとする。また、Elaineと同様のパワートレーンを持つアウディ初のEV「Audi e-tron quattro」は、2018年に市場投入予定としており、急ピッチでEVラインアップの拡大を目指す。
従来車種のラインアップにもハイブリッドモデルの追加を進めており、2018年に日本市場に投入される予定の同社フラグシップモデル、新型「Audi A8」は車内電源を48Vにしたマイルドハイブリッドを搭載する。他にも、大型SUVの「Audi Q7」をプラグインハイブリッド(PHEV)化したモデルを用意するなど、プレミアムカーに対する電動化技術の投入が目立つ。
この急激な電動化推進の背景には、中国や欧米各国が主導する自動車パワートレーンのゼロエミッション化への対応があるだろう。しかしEVは、現時点ではバッテリーなどの部品コストが高騰しているため、事業としては低収益にとどまるという。
フォルクスワーゲングループで、利益率を高く設定できる中〜高価格帯の自動車を販売するアウディはその立ち位置を生かし、従来より販売するプレミアムカーに電動化技術を投入することによって、収益率を維持しつつも電動化技術の開発に投資できる。2025年までに同社が生産する自動車の4分の1をEVにすると発表しており、EV市場に存在感を示す構えだ。
電動化技術に一日の長を持つ日産は、着実に電動車両の裾野を広げていく。一方で、急速に電動化技術を立ち上げるアウディは、先進技術を採用したEVを早いペースで市場に投入する。また、EVはテスラなどの新興メーカーが勢いを見せる市場でもある。各国政府やメーカーの思惑に左右されつつも、自動車の電動化は確実に進行している。
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