藻類でつくるジェット燃料、IHIがタイで実証へ自然エネルギー

IHIはタイで微細藻類を使ったバイオジェット燃料の実証実験を実施。早期実用化に向け、製造コスト低減などの課題の検証を進める。

» 2017年11月09日 09時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 IHIは2017年11月6日、タイで微細藻類を使ったバイオジェット燃料の実証実験を行うと発表した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業である「バイオジェット燃料生産技術開発事業/一貫製造プロセスに関するパイロットスケール試験」の一貫で、タイのSiam Cementおよび同社傘下のSCG Cement-Building Materialsと協力し、同国サラブリ県にパイロットスケール試験設備の整備を開始する。

 今回の開発事業は、バイオジェット燃料製造の商用化を目指し、バイオジェット燃料生産での複数ある技術の1つとして、微細藻類由来のバイオジェット燃料を一貫製造するプロセスに関する技術開発を行うもので、IHIは神戸大学とともに取り組む。

 IHIは、これまでにもNEDOの委託事業「戦略的次世代バイオマスエネルギー利用技術開発事業」を含め、石油代替燃料の原料となる炭化水素油を藻体の50%以上含有し、増殖性が高い高速増殖型ボツリオコッカス株を用い、バイオジェット燃料の研究開発を行ってきた。2015年度には鹿児島県鹿児島市七ツ島の屋外大規模培養設備で、バイオ燃料用微細藻類の安定培養に成功している。

藻類を利用したバイオジェット燃料の製造イメージ 出典:IHI

 今回タイではより規模を拡大し、1万平方メートル規模の培養池を含むプラントを設置し、パイロットスケール試験を実施する。また、より高効率な工業化のための課題抽出とその対策を検討し、安定的な長期連続運転や製造コストの低減などの実現可能性を検証する。試験期間は2017〜2018年度としている。

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