太陽光の第2回入札はどうなるのか、保証金の没収条件は緩和へ太陽光(1/2 ページ)

2017年に第1回が実施された太陽光発電のFIT価格を決める入札制度。第1回が低調だったことを受け、第2回の制度設計について議論が行われている。多くの事業者が辞退する要因となった、保証金の没収条件が緩和される見込みだ。

» 2018年01月12日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 2017年11月に実施された、同年度における2MW(メガワット)以上の太陽光発電のFIT価格を決める第1回入札。その結果は既報の通り500MWの募集要領に対し、実際に落札されたのは9件、容量ベースで141MWと低調な結果となった。さらにこの9件のうち5件、100MWは第2次保証金の納付がなかったため、落札者決定が取り消された。そのため、今回の入札を通して開発される見込みの事業は、4件となった。

 この結果を受け、2017年12月27日に開催された調達価格算定委員会では、2018年度に実施する予定の第2回、第3回入札の条件設定について、討議が行われた。一部の条件が緩和される方向で議論が進んでいる。

第1回入札結果の分析 出典:資源エネルギー庁

第2次保証金の没収を避ける事業者が多い

 第1回入札では、事前の審査を経て入札資格を得たものの、実際の入札を辞退する事業者が多かった。審査を通過した事業計画は23件だったが、最終的な落札件数は9件、さらに先述の通り5件が第2次保証金未納のため、取り消しとなっている。

 このように辞退が多くなった理由として挙げられたのが、第2次保証金の没収条件が厳しいのではないかという点だ。

 第1回入札では、審査通過後に500/kW(キロワット)の第1次保証金を、落札通知を受けた後に、5000円/kWの第2次保証金から第1次保証金分を差し引いた額を納付する必要があった。仮に20MWの事業を計画していた場合、納付する保証金は1億円になる。

 この第2次保証金が没収される条件は複数ある。代表的なものの1つが、入札結果の公表から3カ月以内にFIT認定を取得しなくてはならないという条件だ。第1回入札の場合、2018年3月5日までにFIT認定を取得する必要があった。その場合、改正FIT法にもとづいき、電力会社と系統接続契約を締結しておく必要がある。現在、この系統接続契約の手続きが長期化する動きもある。そのため、第2次保証金を納付せず辞退となった事業者の一部は、期限日までに契約が難しいと判断した可能性が高い。

 また、「事業者が自ら定めた運転開始予定日を超過して運転開始しなかった場合」にも第2次保証金が没収される。改正FIT法では認定取得から3年以内の運転が義務付けられたが、第1回入札では運転開始予定日を、認定取得から3年を超えて設定することが許されている。ただしその場合、3年を超える分については、買い取り期間が短縮されるというルールだ。

 委員会では、入札参加資格を得た事業者が設定した運転開始予定日の内訳が公表された。その結果を見ると、全体の50%が認定取得期限から3年超、さらに全体の13.6%は同8年超で設定していた。こちらは認定取得期限に起因するものではないが、多くの事業者が第2次保証金の没収を嫌い、それに合わせた事業計画を策定していたことが分かる。

 このことを受け、委員会では第2次保証金の没収条件を緩和する複数の代案が提示された。

第1回入札で入札参加資格を得た者が設定した運転開始予定日 出典:資源エネルギー庁
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