本技術では、パワー半導体材料としてSiCを採用した。SiCは近年登場した比較的新しいパワー素子であり、Siと比較してスイッチ導通時の損失(オン抵抗)が低いため、変換器セルの電力損失を抑えることができた。
さらに、SiCモジュールを並列化させることによって、変換器セル内部の抵抗を抑えたとする。SiCモジュールの並列化では、各モジュール間の電流バランスが課題となっていたが、電磁界解析を用いて変換器セル内部の電流分布を可視化し、並列化したモジュールに電流が均等に流れるように部品を配置することで解決した。
また、SiCパワー素子はSiに比べて高速動作が可能で、スイッチング高周波化が可能なこともメリットだ。従来のSiを用いた変換器セルでは、スイッチング周波数が約150Hzであり、SiCを用いた変換器セルでは約350Hzに向上した。このスイッチング周波数向上によりコンデンサー容量の低減や、電力損失低減による冷却装置小型化から変換器セルの小型化が可能になったという。
同社では今後、現状の3.3kVモジュールからさらに耐圧の高い6.5kVのSiCモジュール適用による開発を推進し、さらなる長距離大容量送電の高効率化と、変換器設置コストの削減を実現し、2020年代後半の実用化を目指すとしている。
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