Looopと中部電力が資本提携、狙いは「FIT制度に依存しない再エネ普及」自然エネルギー(2/2 ページ)

» 2018年10月01日 12時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]
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提携の理由は「FITに依存しない再エネ普及を実現するため」

 2018年8月から東京電力ホールディングス管内の高圧電力において、Looopが中部電力の取次事業者となるなど、両者は以前から提携関係にある。さらに踏み込んだ今回の資本業務提携は、Looop側からの提案がきっかけになったという。

 会見に登壇したLooop 代表取締役社長の中村創一郎氏は「今回出資を受け入れた最大の理由は、FIT制度に依存しない再生可能エネルギーの普及を実現するため」と話す。

 日本では2012年にFIT制度がスタートし、太陽光を始めとする再生可能エネルギーの普及が進んだ。一方で、買い取りにかかる費用を「再エネ賦課金」として国民が負担するかたちになっている。そのため今後は発電コストの低減と同時に、FIT制度に依存しないかたちでの普及モデルの実現が期待されている。

 中村社長は「これまでの日本の再生可能エネルギーは、再エネ賦課金というかたちで国民の皆さまの力を借りることで普及が進んできた。しかし、今後はFIT制度からの自立した再エネの拡大が必要。再生可能エネルギーを中心としたエネルギーフリー型社会の構築を目指すLooopはそれを実現したい」と話す。そして、「そのためにはさならなる再生可能エネルギー電源のコスト低減、分散電源の普及、さらにはITやデジタルなどの仕組みを開発・活用して分散電源を効率よく管理し、低コストにエネルギー供給が行えるサービスを実現する必要がある。これらを実現するにはITなどの技術開発などが必要であり、そのために中部電力から出資を受け入れることを決めた」と述べている。

 また、Looopがこうしたビジョンに基づく提携先として中部電力を選んだ理由は、今後の日本の再生可能エネルギーに対する考え方の面で、共感する部分があったからだという。

 会見に登壇した中部電力の執行役員 販売カンパニー事業戦略室長 大谷真哉氏は、「今回の資本業務提携については、半年ほど前から検討してきた。将来のエネルギー供給体制は、分散電源が入ってくることで変化が生まれるだろうと考えている。そして、分散電源を活用した次世代のコミュニティにおいては太陽光発電が1つのキーになると見ている。Looopは太陽光発電に関して、設備の調達から顧客への設置、その後の運用までのノウハウを持っている。斬新な料金プランの構築など、電力小売事業の実力も評価しているが、“新電力と提携した”というよりは、再生可能エネルギーに関する実力を評価した」と語っている。

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