目視で確認できないマイクロクラックは「EL(Electroluminescence)検査」という検査を行うことで確認をすることができます。EL検査とは、太陽光パネルに電界を印加することにより、半導体内に入った電子と正孔が再結合して発光したものを撮影し、可視化した画像を分析するものです。
電界を印加すると、電気が流れている部分は発光しますが、流れていない部分は暗いままなので、外観からは判断できないものの、発電量の低下につながる可能性があるセルのクラック(亀裂)や、インターコネクターの断線・接続不良などを一目で発見できるのです。
下の画像は、セルに生じたクラックが、将来どのように発電損失を引き起こすかの例です。結晶系の太陽光パネルは、セルにバスバーが敷設されており(下記画像では1セルにつき3本)、バスバーに対して垂直にフィンガーバーが細かく敷設されており、セルで発電した電力をフィンガーバーによってバスバーに運ぶことにより集電しています。
セルにクラックが入った場合、経年の外的および内的要因による内部破壊でフィンガーバーが断線する可能性が高く、場所や形により発電の損失を起こす可能性があります。
EL検査はマイクロクラックの入った場所や形状から、将来のパフォーマンスに関わる影響の予測を立てることが可能です。
アドラーソーラーワークスにも、自然災害により損傷を受けた太陽光発電所の太陽光パネル検査をしたいという問い合わせが増えています。具体的な事例として、2018年4月に雪害により太陽光パネルアレイが変形し、大量の太陽光パネルが破損した現場にて、約5000枚の太陽光パネルのEL検査を実施例をご紹介します。
本検査の趣旨は、EL分析の結果を基にして、保険による交換対応が可能な太陽光パネルを判別するというものです。弊社の判定アルゴリズムにて、発電所内の太陽光パネルの状態をABCDの4ランクで判定し、CとDを保険により交換対象とすることになりました。
本件の結果については、検体である太陽光パネルのうち、使用可能なものが25%となり、交換対象は75%に及びました。本結果の使用不可太陽光パネルの数が多いか少ないかはさておき、本検査により発電事業におけるリスクが大きく低減したことは事実です。
太陽光発電が悲惨な自然災害に直面した場合でも、こうした検査などを活用することで、効率的に設備を再生できる可能性があります。
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