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» 2018年10月18日 07時00分 公開

太陽光:目標は再エネ100%、シンガポールの離島で進むマイクログリッド実証を探訪 (2/3)

[廣町公則,スマートジャパン]

再生可能エネルギー・マイクログリッドの大本命

 シュナイダーエレクトリックとエンジーが共同で展開しているプロジェクトは、東南アジア最大規模となる複合型の再生可能エネルギー・マイクログリッド。「Sustainable Powering of Off-Grid Regions(SPORE)」と称され、太陽光発電設備、風力発電設備、蓄電システムを備えている。設備容量はトータルで1MW(メガワット)。主要なイノベーションとしては、水素システム、スマートインバーター、マイクログリッド管理システムが挙げられる。

シュナイダーエレクトリックとエンジーが展開する「SPORE」の発電設備

 水素システムは、太陽光・風力由来の電力を水素に変えて貯蔵し、燃料電池によって再び電力に変換する。水素は保管・運搬が容易であり、さまざまな用途に活用できるため、マイクログリッドの運用にも柔軟性がもたらされるという。スマートインバーターは、各種発電設備とエネルギー貯蔵装置のベストマッチングを図り、グリッドの安定性向上に貢献する。マイクログリッド管理システムは、発電・蓄電・消費のバランスをリアルタイムで調整するPMSと、中期的なエネルギー需要と発電量を予測・管理するEMS(エネルギーマネジメントシステム)から成り、グリッドの信頼性を高いレベルで確保する。

マイクログリッド実証プロジェクト「SPORE」の概要 出典:シュナイダーエレクトリック

東南アジアの離島に、自立した電力供給システムを

 SPOREプロジェクトは2016年8月にスタートし、2017年10月にマイクログリッド各種設備の設置作業が完了した。現在(2018年9月)はコミッショニング(試運転・性能検証)が行われており、まもなく通常運転に入る。発電した電力は、当面、セマカウ島内のオフィスで照明や空調などの電気として使われることになる。また、海水を淡水化して飲み水をつくるなど、小さな島ならではのニーズに応えていくことも検討されている。

 セマカウ島は、シンガポールの電力系統から切り離された離島であり、これまで島の電力はディーゼル発電によって賄われてきた。この状況は、東南アジアにおける他の多くの離島とも共通するものであり、こうした島々では石油などの燃料コストが地域社会の重荷ともなっている。太陽光や風力をベースとする再生可能エネルギー・マイクログリッドが構築されれば、燃料コストを島外に払い続ける状況から脱却し、離島地域の発展を促すことにも結びつく。

 SPOREは、最終的には再生可能エネルギー100%を目指すマイクログリッド実証プロジェクトだが、離島における現状を踏まえ、従来電源であるディーゼル発電機との連携にも柔軟に対応する。既存のディーゼル発電機と再生可能エネルギー発電設備の協調運転を行いつつ、徐々にディーゼルの発電量を減らしていくという。シュナイダーエレクトリックとエンジーは、SPOREをモデルケースとして、マイクログリッドの普及拡大を図っていく考えだ。

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