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» 2019年01月15日 09時00分 公開

エネルギー管理:レドックス電池を米国の電力市場に接続、NEDOと住友電工

NEDOと住友電気工業は「レドックスフロー電池」を米国カリフォルニア州の電力卸売市場に接続し、最も収益が見込まれる運用手法を検証する実証運転に取り組む。米国内の電力卸市場でレドックスフロー電池を運用するのは初めてという。

[スマートジャパン]

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機)と住友電気工業は2018年12月、「レドックスフロー電池(RF電池)」を米国カリフォルニア州の電力卸売市場に接続し、最も収益が見込める運用手法を検証するための実証運転を開始すると発表した。

実証で利用する「レドックスフロー電池」 出典:NEDO

 米国カリフォルニア州は、2045年までに州内の電力の100%を温室効果ガスが排出しないエネルギーで賄うとする州法「SB100」を成立させるなど、再生可能エネルギー導入に関して高い目標を掲げている。こうした中、太陽光発電(PV)の増加による朝夕の急激な需要変動や電力品質低下の問題が顕在化しつつあり、この変動調整が急務となってきた。そこで、州法「AB2514」で、蓄電設備の導入義務を電力会社に課すとともに、蓄電池で適正な収入を得られるような電力卸売市場の新制度設計を段階的に行っている。

 このような背景のもと、NEDOは2015年9月に米国カリフォルニア州の経済促進知事室(GO-Biz)と基本協定書(MOU)を締結し、住友電気工業を委託先として、同州サンディエゴでRF電池の普及展開に向けた実証事業を進めてきた。

 RF電池は、電池反応を行うセル、活物質を貯蔵するタンク、活物質を循環させるためのポンプと配管から構成されている蓄電池。出力(kW)部と容量(kWh)部が独立しているため、用途に応じた適切な出力/容量設計がしやすい。また、充放電反応が電解液中でのイオンの価数変化のみで、電極や活物質の劣化がなく長寿命の大型蓄電池として適している。住友電気工業は電解液にバナジウムを採用し、業界に先駆けてシステムを開発した。

 今回のプロジェクトでは3段階に分けて実証運転を進めており、2017年3月から実施した第1段階では、現地の大手電力会社であるSan Diego Gas and Electric社(SDG&E社)の協力を得て、NEDOと住友電気工業は、変電所内に設置した2MW/8MWhのRF電池を配電網で運用し、電圧調整・余剰電力対応などの複合的運転を行いながら蓄電池の基礎特性や信頼性の評価を完了した。また、SDG&E社と協力して、カリフォルニア州独立系統運用機関(CAISO=California Independent System Operator)の開設する電力卸売市場に接続できるよう技術的、事務的な申請作業も並行して進めている。

 このほど、RF電池の接続申請手続きが完了したことにより、同プロジェクトは第2段階としてCAISOが開設する電力卸売市場での取り引きを開始する。RF電池としては米国の電力卸売市場へ初参入することとなるという。

 CAISOはカリフォルニア州の送電網を運用・管理する機関であり、その電力卸売市場においては、再生可能エネルギーの導入拡大によって、周波数調整のような短周期の出力(kW)を提供する調整力と同様に、エネルギー供給のタイムシフトのような、長時間の電力量(kWh)を提供する供給力が求められている。

 RF電池は運用上、充放電の深度や回数に制約がないという特長を有しているため、短周期の出力と、長時間の電力量のいずれの充放電要求にも適しており、これらの短周期と長時間の変動を同時に出力することにより、多目的かつ柔軟な運用が可能であると期待されている。

 第2段階では、RF電池の特徴を生かし、周波数調整などのアンシラリーサービス市場やエネルギー取引市場などで複数の取引を柔軟に組み合わせ、季節や時間帯に応じて最も収益が見込める運用手法を検証する。また、現在制度設計中である蓄電池に適した新メニューにも、いち早く対応することでさらなる経済性の向上に取り組む。このような蓄電池の複合的な運用手法の検証は、世界に先駆けた取り組みとなるという。

 第3段階では、配電網と送電網の両方における複合運転を行い、第1、第2段階にて確立した運用手法を有効活用し、さらなるRF電池の経済的価値の向上を目指す。

電力卸売市場へ供給力や調整力を提供する実証運転の概念図 出典:NEDO

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