太陽光発電所での農薬利用、「法令違反」を避けるための注意点基礎から学ぶ太陽光発電所の雑草対策(8)(2/2 ページ)

» 2019年02月14日 07時00分 公開
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農薬使用で多い事故の具体例

 農薬の利用に関する「事故」とは、一言でいってしまえば「法令に違反する不適切な使用」となります。これをより具体的に分類すると、「散布量の超過」「散布回数の超過」「不適切な散布方法」の3つに分けられます。この3つについて、具体例を下記の表にまとめました。

法令違反の具体例
誤った使い方によって、樹木などを枯らしてしまうことも

農薬と他の雑草対策工法の比較

こうした農薬の利用に関する注意点やリスクを踏まえた上で、雑草対策のさまざまな工法と比較した場合のメリット、デメリットをまとめました。発電所の立地や状況などをしっかりと確認し、適切な工法を選択していただきたいと思います。

農薬と各雑草対策工法との比較
多年生雑草であるクズの塊根

 今回は、農薬を実際に使用する際にご注意いただきたい事項をご説明しました。便利で簡単かつ経済性のある農薬が、使用の仕方によっては、被害、事故、損害補償を引き起こす可能性があることをご理解いただけたら幸いです。発電事業者の方や管理する方は、この点を踏まえて事業計画や評価ガイドに対し適切に計画・実行・管理していけば、すばらしい発電所運営になると考えています。

 次回は発電事業者がおさえておくべき安全管理と、弊社の取り組み事例をご紹介する予定です。ぜひ、楽しみにしていてください。

著者プロフィール

増田幹弘(マスダ ミキヒロ)
野原ホールディングス株式会社 経営企画部 再生エネルギープロジェクト室長
太陽光発電アドバイザー、緑の安全管理士、「東京都農薬指導管理士」

大阪出身、近畿大学卒業。1999年、私費にて参加したエコに関する研究会にて、電気を庭に取り付けた太陽光発電と自動車の大型バッテリーから、給湯は太陽熱を利用するなどの、今でいうゼロエネルギー住宅(奈良県)を視察し感銘を受ける。自宅をオール電化にし屋根には発電システムを取り付け、自宅エネルギー消費データを2年間記録、上記研究会にて発表。その後も省エネ、省資源についての研究を深め、建材の開発、リサイクルシステム、工場のエネルギー消費削減に大きく貢献。

2009年、野原産業(現 野原ホールディングス)に入社。2013年、事業開発部において八ヶ岳研修所の遊休地活用事業として太陽光発電プロジェクトを主幹。現在は、太陽光発電に関わる新事業として、第三者の視点からの太陽光発電設備の保守・点検(O&M)サービス「SUNSUN GUARD 20」を展開。豊富な知識と多様な事例、経験から、太陽光発電事業者向けセミナーにて講師も務める。≫


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