迫る太陽光パネルの廃棄問題、各社が再利用ソリューションを続々と披露スマートエネルギーWeek2019(1/2 ページ)

太陽光発電設備のリユース、リサイクルへの関心が高まっている。世界最大級の再生可能エネルギー展示会「スマートエネルギーWeek2019」でも、今年新たに「資源リサイクルEXPO」が開催され、注目を集めた。

» 2019年04月05日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]

 太陽光発電設備の導入拡大が進むなか、太陽光パネルや蓄電池の「リユース」「リサイクル」に向けた取り組みも本格化してきている。役目を終えた使用済みパネルの処理はもちろんのこと、近年は台風や地震などによる設備の破損が社会問題とされており、その処理は喫緊の課題となっているのだ。

 2018年には環境省が「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」の見直しを行い、経済産業省も現在、パネルの廃棄対策に関する制度作りを進めている。産業界においても、太陽光発電協会が「適正処理が可能な中間処理業者名」を公表するなど対応を急いでいる。

 こうした状況を受けて、今年開催されたエネルギー関連の大型展示会「スマートエネルギーWeek 2019」(2月27日〜3月1日、東京ビッグサイト)には、「資源リサイクルEXPO」が新設された。拡大が予想されるリサイクル需要を見据えて、ビジネスマッチングを促そうとするものだ。各社のブースでは、それぞれに先進技術・サービスが披露され、新たな市場創出への盛り上がりをみせていた。

2019年に始めて開催された「資源リサイクルEXPO」の受付の様子

太陽光パネルの循環型スキームを提唱するNPC

 太陽光パネル製造装置のNPCと、同子会社でリサイクルを専業とするPVテクノサイクルは、太陽光パネルの循環型スキームを提案する。従来の方式では、アルミフレームなどパネルの一部しかリサイクルできず、粉砕したセルはガラス・金属混在のまま産廃として埋め立て処理されることが多かった。一方、同グループのリサイクル方式は、ガラスや金属を細かく分類し、極限まで再資源化を図るというもの。環境負荷が小さく、コストも抑えられるシステムだ。ガラスが割れているパネルであっても、自動化された「割れガラスパネル分離装置」で適正に処理することができるという。

NPC、PVテクノサイクルによるリサイクル方式

 こうしたリサイクルが可能なのは、同グループが太陽光パネルの製造工程を熟知しているからこそ。2019年1月には、同リサイクル方式の業界標準化を目指し、太陽光パネル自動解体ラインの外部提供も開始した。将来的には、リサイクルスキームの世界展開も視野に入れる。

100%リサイクルに向けて、廃ガラスの組合が始動

 環境保全サービス、ミツバ資源ほかからなる廃ガラスリサイクル事業協同組合は、太陽光パネル100%リサイクルを掲げる。同組合は、もともとガラスビンのリサイクルから始まった事業者団体であり、ガラス処理に関しては多年にわたる実績を有している。太陽光パネルの大量廃棄時代を見据え、独自のガラス剥離・分別システムを開発し、現在その普及に努めている。

剥離・分別された太陽光パネル。廃ガラスリサイクル事業協同組合ブースより

 廃棄パネルを投入すれば、自動でアルミフレーム、ガラス、セル、バックシートなどに剥離(はくり)・分別するという同システム。剥離したガラスは、さらにガラス精製システムで異物が取り除かれ、粒状の美しいガラス素材に生まれ変わる。銀や銅などの有価物も確実に回収可能で、最終的には100%リサイクルができるという。

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