迫る太陽光パネルの廃棄問題、各社が再利用ソリューションを続々と披露スマートエネルギーWeek2019(2/2 ページ)

» 2019年04月05日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]
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アース・テクノ・サポート、資源分析でリサイクルを支援

 環境資源分析により、リサイクルのための支援業務を行っているのが、アース・テクノ・サポート。同社がいま力を入れているテーマは、蓄電池だ。廃棄されるリチウムイオン電池に含有するニッケル、コバルト、マンガンなどの希少金属に着目する。これらの金属は、廃棄処分も困難で危険を伴うため、環境保全の観点からもリサイクルが求められているという。

資源分析の重要性を語る、アース・テクノ・サポート代表取締役の川嶋昌利氏

 同社は、資源回収対象となる蓄電池の性状分析を行い、希少金属の含有量や回収率などのデータを収集し、リサイクルに向けた基礎資料を提供する。今後は、リチウムイオン蓄電池の熱処理・粉砕技術の向上を図るとともに、生産・リユース・廃棄の全工程で環境負荷の少ないリサイクルプロセスの研究開発を進めていく。

イグアス、鉛蓄電池を復元してリユース

 電動フォークリフトなどのリサイクルバッテリーを手掛けるイグアスは、鉛蓄電池の復元技術で、太陽光発電市場への参入を果たす。高額なリチウムイオン電池の代替製品として、リユース鉛蓄電池を普及させていく考えだ。「低コストで安定したパフォーマンスを発揮する“復元電池”は、同時に、廃棄電池の削減に寄与し、廃棄処理に伴うCO2の削減という社会貢献にもつながります」と、その意義をアピールする。

イグアスのブースでは、復元電池の販売も行われた

 廃棄やリサイクルではなく、性能を回復させてもう一度使う、リユースは環境に最もやさしい選択肢なのかもしれない。同社では、IoTを活用したモニタリングシステムにより、バッテリー性能の計測・監視も行っている。これにより、バッテリーの劣化状況や異常を未然に把握し、迅速に対応することも可能になるという。

一貫体制の強みを生かす東芝環境ソリューション

 資源リサイクルEXPO以外の会場でも、リユース・リサイクルに関する展示は目についた。その1つが、東芝環境ソリューションの出展ブースだ。東芝グループでは、事業計画時から、廃棄プロセスを含めた一貫したサービスを提供。使用済み太陽光パネルや二次電池モジュールを、無駄なく再利用・再資源化できるという。

東芝環境ソリューションは、太陽光パネルからはがしたガラスのリユース品を展示

 同社は、発電設備の撤去・解体から、産廃の運搬・受け入れ、破砕・分離による再資源化までトータルに請け負っている。パネルから銀などの有用金属、鉛などの有害金属を回収する行程には、化学薬品や高熱などを使わない乾式方針を採用し、環境負荷の低減を重視する。リユース太陽光パネルとリユース蓄電池を組み合わせた、これまでにない発電設備の開発にも積極的に取り組んでいる。

トリナ・ソーラー、自社製パネルの最適処理へ

 トリナ・ソーラー・ジャパンは、ガラス再資源化協議会とレノバによる「使用済み太陽光パネルのリサイクル・リユースシステムの構築実証事業」に協力。太陽光パネルメーカーとして今後一層、自社製品の最終処理プロセスにコミットしていく方針を示す。同プロジェクトは環境省の委託事業であり、リユース・リサイクルの課題を検討し、経済合理性の高い適正処理システムの構築を図ろうとするものだ。

トリナ・ソーラー・ジャパン代表取締役社長のYE CHEN氏

 太陽光発電の長期安定事業化を実現し、日本の主力電源としていくためにも、パネルや蓄電池のリユース・リサイクルは欠かせない。再資源化率の向上、最終処分率の低減を通じて、太陽光発電が循環型社会の形成に貢献するものとなることが期待される。

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