NEDOは、太陽光発電の大量導入社会を実現するために、太陽電池のリサイクルや発電コスト低減を目指すプロジェクトを新たに開始する。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、太陽光発電の持続的発展に向けて、「太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト」で5件、「太陽光発電システム効率向上・維持管理技術開発プロジェクト」で2件の技術開発テーマを新たに採択した。
「太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト」では、太陽光発電モジュールの低コストリサイクル処理技術や、有価物の回収率向上や回収物の高純度化技術の開発と実証を行う。一方「太陽光発電システム効率向上・維持管理技術開発プロジェクト」では、工事を含む周辺機器や維持管理の低コスト化技術の開発と実証を行い、太陽光発電の大量導入を支える技術開発を促進する。
太陽光発電の普及が広がるにつれて、課題となってきているのが、太陽電池の廃棄物の問題だ。既に政府は2018年に太陽電池モジュールの廃棄物に関するガイドラインを適用する方針を示している(関連記事)が、まずは生じる廃棄物の量を最小化し、処理コストを低減することが必要となる。
そこでNEDOでは、太陽電池モジュールの分解処理コストとして5円/W(ワット)を目標に掲げ、収益性を意識しつつ、太陽光発電モジュールのリサイクル処理、有価物の回収率向上、回収物高純度化などを実現する技術開発に取り組む。またその効果を実証実験する。
採択テーマとなったのが、以下の5つだ。
例えば、浜田とエヌ・ピー・シーが取り組む「ホットナイフ分離法によるガラスと金属の完全リサイクル技術開発」は、結晶シリコン系太陽電池モジュールの分解処理を目的としたものだ。ガラスとシリコンセルの間の封止剤(EVA)層を加熱した刃で切断し、ガラスやシリコンセルを破砕せずに分離回収できる「ホットナイフ」技術を開発するとともに、回収したガラスや金属などを全て再資源化するための設備およびプロセスの設計・開発を実施する(図1)。
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