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» 2019年04月18日 07時00分 公開

ソーラーシェアリング入門(13):日本との国際協力に期待も、韓国のソーラーシェアリング事情 (1/2)

農業の新しい収益源として注目が集まっている「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電事業)」について解説する本連載。今回は2019年3月に韓国で開催された「日韓営農型太陽光発電政策・技術交流会」に筆者が参加した内容を踏まえ、韓国のソーラーシェアリング事情について解説します。

[馬上丈司 千葉エコ・エネルギー株式会社 代表取締役,スマートジャパン]

 2019年3月4〜8日にかけて、韓国で「日韓営農型太陽光発電政策・技術交流会」が開催されました。その中で開かれた日韓営農型太陽光発電政策交流会において、韓国エネルギー公団(KEA)及び韓国営農型太陽光協会(KAVA)と、私が代表を務めるソーラーシェアリング推進連盟が、日韓での営農型太陽光発電推進に関する業務協約書を締結しました。日本からはソーラーシェアリング推進連盟代表理事として私が締結式に臨み、韓国エネルギー公団新再生エネルギーセンター所長のSang Hoon Lee氏、韓国営農型太陽光協会代表理事のJi Sik Kim氏とともに、協約書に調印しました。

業務協約書締結式の様子

 この業務協約書の締結によって、日韓で営農型太陽光発電設備の標準設計の検討と、標準化の推進、農産物の生産に関する研究交流を始めとして、東アジア地域における営農型太陽光発電の普及拡大に向けた包括的な協力体制を構築していくことになります。

 今回の連載では、国内ではあまり情報の無いソーラーシェアリングの海外事例として、お隣韓国の事情と技術交流会の内容をレポートします。ちなみに、韓国では日本でいうソーラーシェアリングを「営農型太陽光発電」と称しますが、以下では固有名称以外の表記を「ソーラーシェアリング」に統一します。

韓国も「ソーラーシェアリング」の普及拡大に本腰

 韓国では、2015年からソーラーシェアリングの導入について民間レベルでの検討が始まりました。まず日本の千葉県市原市にある長島彬氏の実証試験場を中心に調査を行い、2016年に韓国中部の忠清北道に最初の実証設備が建設されたことで、日本と同様に作物の栽培と発電事業の両立に関する研究がスタートしました。当初は水稲や白菜、ジャガイモを、遮光率29%の設備下で栽培し始めたそうです。

韓国のソーラーシェアリング第1号実証設備

 韓国では100kW(キロワット)までが低圧設備として扱われるということで、10〜100kWの出力の大小さまざまなソーラーシェアリング実証設備が現時点で10カ所程度導入されています(こういった話を聞くと、日本の低圧設備基準の狭苦しさを感じます)。

 これらの実証設備は韓国の中部から南部に分布しており、政府系の農業研究機関である各地の農業技術院も作物の生育研究に参加している他、韓国電力公社を中心とする地域の発電会社も加わるなど、まさに国策としてソーラーシェアリングの研究が進められてきました。その成果をもとに、2018年には本格的な制度導入に向けた動きがスタートし、同年10月には韓国営農型太陽光協会が設立されています。

 こうした体制の構築は、各地の民間レベルの取り組みからボトムアップでソーラーシェアリングが普及してきた日本との、大きな違いです。韓国の場合、既にソーラーシェアリングで先行していた日本の事例を参考にし、「農業振興のための太陽光発電事業」という姿勢がより明確に打ち出されているため、設備設計については日本の長島式を踏襲したレイアウトになっています。

 その構造も、風洞実験や日照シミュレーションを繰り返した研究が行われており、データに基づく調査となっているのも特徴的です。モジュールはスリムタイプを前提に、遮光率も原則30%前後での実証試験を進めており、実証試験設備で遮光率が32%を越えるものはありません。制度の方針として、KEAによる設備の認証制度が検討されており、作物に応じた遮光率の基準も設けられるそうです。

 その他にも、ソーラーシェアリングに対する低利融資制度の創設や、発電単価(日本で言う調達価格)の優遇措置なども準備されていて、普及拡大に対する手厚い政策が取られようとしています。

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