米アップル(2016年RE100加盟)は、下請け企業に対しても、アップル製品の製造に使う電気は100%再エネにすることを求めている。アップルのサプライチェーンに入ろうと思ったら、再エネ導入を図るしかないのだ。こうした動きは同社だけにとどまらない。
「RE100に加盟するグローバル企業の中には、下請け企業にも再エネ導入を求めるところが増えてきました。中小企業であっても再エネ導入は避けて通れないところでしょう。こうした情勢変化への対応もサポートしていきたい」と三好氏。冒頭に記した年次報告書によると、RE100メンバー企業の44%が、サプライヤーに対して再エネを導入するよう働きかけているということだ。
RE100責任者のサム・キミンス氏は述べている。「日本をはじめとする世界の影響力のある大企業が、RE100への参加を通じて、世界的に電力の再エネ化100%にコミットしています。一方、行動を起こしているのは、RE100へ参加している企業のみではありません。日本の中小規模企業や企業以外の団体も、RE100メンバー企業のリーダーシップに触発され、躍進する意欲を示しています。我々は、より広範囲なクリーンエネルギーへの動きを支援するものとして、RE Actionが設立されたことを喜んでいます。RE100とRE Actionは、日本で互いに協力し合いながら、再エネがあらゆる規模の企業にとって理にかなっていることを証明し、止められない勢いのあるこの動きを加速していくことでしょう」
再エネ100%という目標を達成するには、どうしたら良いのか。RE Actionは、そのための情報提供や各種支援も行っている。中でも注目されるのが、再エネ拡大に向けたWebプラットフォーム「脱炭素コンソーシアム」の構築だ。
脱炭素コンソーシアムは、富士通が開発したデータ流通・利活用基盤「Virtuora DX」を使ったインターネット上のコミュニティであり、再エネに関する需給マッチングを可能にする。富士通によると「Virtuora DXは、データの改ざんが実質不可能であるブロックチェーン技術を拡張し、企業や組織が保有するデータの概要情報をポータルサイト上で安心・安全に共有、見える化することで、異業種間共創を加速するデータ流通・利活用サービス」であるという。
RE Actionは、運営団体の一つであるJCLPと共同で脱炭素コンソーシアムを運用する。再エネ需要家と再エネ供給者のマッチングを実現するとともに、メンバー企業間のノウハウや情報の共有、新ビジネス創出に向けた協業の促進を図っていく。
需給マッチングでは、再エネを導入したい企業が所在地や消費電力などの需要情報を、再エネを供給する企業は電力プランや料金などの供給情報を、それぞれに登録する。登録された再エネ需要情報と供給情報が、データ間のつながりを可視化する「KeyGraph」で表示され、需給ニーズのマッチングが可能になる。マッチングが成立した企業や団体間では、データを暗号化して安全に共有する機能を用いて、具体的なやりとりを実施する。
RE Actionとしては、脱炭素コンソーシアムに参加メンバーのアセットを集積し、将来的には「日本最大の脱炭素ビジネスプラットフォーム」に育てていきたいという。気候変動が危機的な状況にあるなか、日本では脱炭素化の進展が遅れている。いまこそ、再エネ普及へのシグナルを放ちはじめた大小需要家の声に耳を傾けたい。
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