2017年にRE100への加盟を表明した積水ハウス。住宅ハウスメーカーである同社は、なぜRE100に加盟したのか、その目標の達成に向けてどういった戦略を描いているのか――同社常務執行役員(環境推進担当)の石田建一氏に聞いた。
積水ハウスは2019年に「積水ハウスオーナーでんき」という新事業を立ち上げた。卒FITを迎える住宅太陽光発電を持つ積水ハウスオーナーの太陽光余剰電力を買い取り、同社グループの事業用電力として活用していこうという取り組みだ。卒FIT電力を使うことで、事業用電力に占める再生可能エネルギーの割合を高めていき、2040年までに100%再生可能エネルギーにすることを目指す。
RE100とは、自らの事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギー(Renewable Energy)にすることを目標に掲げる、企業連合体の名称。事業活動によって生じる環境負荷を低減させることを目的に2014年に発足した。アップル、グーグル、ナイキ、ネスレ、イケア、BMWなど、名だたるグローバル企業が続々と加盟し、地球温暖化対策・脱炭素化に向けた企業主導の取り組みとして世界的潮流を成している。国内では2017年4月にリコーが日本企業として初めて加盟。同年10月、積水ハウスが国内2番目、建設業界としては初めて加盟した。2020年1月15日現在、RE100に加盟する日本企業は30社を数える。
積水ハウスにとって、2年前のRE100加盟と今回の「積水ハウスオーナーでんき」創設は密接に結びついているという。常務執行役員(環境推進担当)の石田建一氏に、取り組みの背景と狙いを聞いた。
「積水ハウスにとって、RE100への加盟は当然の流れでした。そして、積水ハウスオーナーでんきは、再エネ100%という目標を達成する手法として、当初から想定していたものだったのです」と石田氏。
同社は2008年、住まいからのCO2排出ゼロを目指す「2050年ビジョン」を策定した。既にこの中に、2050年までに「住宅という製品について、材料購入から生産、販売、居住、解体までのライフサイクル全体において、再生可能エネルギーの利用も含めて、CO2排出量をゼロにする」という目標が盛り込まれている。これを遂行していけば、事業用電力を100%再生可能エネルギーで賄うというRE100目標も、おのずと達成し得ると考え、加盟することにしたという。
「2050年ビジョン」を具現化する商品として、2009年に環境配慮型住宅「グリーンファースト」を発売。2013年には、ゼロエネルギー住宅「グリーンファーストゼロ」の販売を開始した。特筆すべきは、これらの住宅には、太陽光発電設備が標準で搭載されているということだ。RE100目標を実現するための電源として、これまでに設置してきた、これら顧客の太陽光発電設備が活用されることになる。
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