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» 2020年01月27日 07時00分 公開

自然エネルギー:自社ユーザーの卒FIT太陽光が大きな強みに、積水ハウスのRE100達成に向けた戦略とは (2/2)

[廣町公則,スマートジャパン]
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顧客の住宅に搭載した700MWの太陽光電源を活用

 「積水ハウスの新築戸数におけるZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)の実績は85%(2019年4〜7月)で日本一、累積棟数は4万7575棟(2013年〜2019年7月)で世界一。業界に先駆け、低炭素と快適な生活を両立する住まいの提供を行ってきた結果、これまでに700MWを超える太陽光発電設備を設置するに至りました。オーナー様の屋根などにある太陽光発電設備からは、合計で年間約700GWhの電力が生まれます。一方で、当社が事業用に使う年間電力消費量は約120GWhです。つまり、設置容量の20%弱を調達すれば、RE100目標の達成は可能なのです」(石田氏)

 具体的には、FIT期間を終えた顧客の太陽光発電設備で発電された電力(余剰電力)を、積水ハウスが1kWhあたり11円で買い取る。そして、買い集めた電力を、同社グループの工場や事務所・展示場の事業用電力として使用する。これが「積水ハウスオーナーでんき」というわけだ。なお、積水ハウス自体は小売電気事業者ではないため、直接には電力買取・供給サービスを行うことはできない。そのため、実際の電気の流れに関する部分は、協力電力事業者(東日本:東京電力/西日本:大阪ガス)に委託し、積水ハウスは顧客とのやり取りに専念する。

積水ハウスオーナーでんきのイメージ 出典:積水ハウス

 「FIT期間を終えると、それまでの条件・単価では売電できなくなってしまうため、多くのオーナー様が不安を抱えていました。積水ハウスオーナーでんきは、オーナー様の不安を解消するために開始したサービスでもあるのです」と石田氏はいう。1kWh当たり11円という買取単価は、大手電力会社や一般的な新電力会社と比べて、かなりの高値であり、顧客にとってもメリットの大きいサービスであることは間違いない。電力の調達先も供給先もはじめから決まっており、営業経費を抑えられる同社だからこそ実現できた買取単価といえるだろう。

 「電力事業で利益を得る考えではないため、オーナー様に対し、蓄電池の購入や小売電力とのセットといった前提条件を付けることなくこの買取価格をご提案できているのです」(石田氏)

再エネ活用は企業価値向上に直結 ESG投資銘柄にも

 RE100において、再生可能エネルギーと認められる電力は、思いのほか少ない。日本では、2012年のFIT制度スタート以降、太陽光を中心に再エネ発電設備が急増した。しかし、そこから供給される電力の多く(FIT制度を使って売られている電力)は、再エネ電力とは認められない。FIT制度を使って電力を売る場合、その電力に含まれる環境価値(再エネ価値)は、再エネ賦課金を払っている国民全体に帰属するものであり、その電力には含まれないと規定されているからだ。

 そのため、電力会社のメニューにある「FIT電気」を購入しても、再エネ電力を使っていることにはならない。つまり、再エネ発電設備で発電された電力のうち、FIT制度を使わずに取り引きされた電力(非FIT電力)だけが、RE100に生かせる再エネ電力ということになる。非FIT電力には、FIT制度による買取期間を満了した、いわゆる卒FIT電力も含まれる。この卒FIT電力の所有者を、はじめから自社の顧客として囲い込んでいることが、積水ハウスの強みなのだ。

 また、同社にとって再エネ電源を増やすことは、太陽光発電設備つきの住宅を建設販売することとイコールだ。通常の事業活動が、そのままRE100実現に向けた取り組みともなっているわけである。

 RE100を含む脱炭素への取り組みは、積水ハウスの企業価値向上にも直結しているという。「2019年9月には、ESG投資の代表的な株式指標の1つであるDJSI Worldの構成銘柄に4年連続で選出されました。また、国際的な環境非営利団体CDPから、2年連続でAリストに選定され、気候変動に対する活動において世界的に優秀な企業という評価を受けています。私たちは今後も、事業を通じて、環境問題をはじめとした社会問題解決への取り組みを推進し、脱炭素経営のリーディングカンパニーを目指してまいります」(石田氏)

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