民間企業間で再エネをP2P取引、“ポストFIT”を見据えた電力融通プロジェクト始動電力供給サービス(1/2 ページ)

太陽光発電などの発電事業者と需要家をつなぎ、民間企業同士で再エネ電力取引を行えるようにする実証プロジェクトが始動。「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」を利用しない再エネ電力の活用スキームと需要拡大を目指す動きが広がってきた。

» 2020年02月26日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 FAプロダクツは2020年2月25日、ミライネクト、デジタルグリッドらと共同で、電力のP2P(ピア・ツー・ピア)取引の実証事業を行うと発表した。太陽光発電などの発電事業者と需要家をつなぎ、民間企業同士で電力取引を行えるようにするのが目的で、「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」を利用しない再エネ電力の活用スキームと需要拡大を目指すという。

2月25日に開催された記者会見の様子

 FAプロダクツはファクトリーオートメーション(FA)など、製造業向け事業の他、太陽光発電を中心とした建材販売事業や、太陽光発電事業の仲介事業などを手掛ける。今回の実証では主幹企業としてプロジェクトの取りまとめを行うとともに、発電事業者として電力供給を行う。

 実証事業ではFAプロダクツが所有する太陽光発電の電力を、デジタルグリッドが提供する「デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)」を通して需要家に供給する。デジタルグリッドが開発するDGPは、需給予測機能や、発電事業者と需要家側を自動的にマッチングするシステムを備えた電力のP2P取引基盤。JEPXなどの卸電力取引所を利用せずに、発電事業者と需要家側で電力取引をできるようにすることを目指したプラットフォームだ。再生可能エネルギー電源など出力変動の大きい電源の需給調整などにも活用できるよう開発を進めている。

 プロジェクトのポイントとなるのがDGPを通して、発電事業者と需要家の間で相対取引によって電力融通を行う点だ。実務上はデジタルグリッドが小売電気事業者、ミライネクトがその取次事業者として、発電事業者と需要家をつなぐ形式になる。ただし、「相対取引おける価格の決定権やそのリスクなどについては、小売電気事業者(デジタルグリッド)ではなく、需要側が持つというのが今回のプロジェクトの大きな特徴」(デジタルグリッド 代表取締役社長の豊田祐介氏)という。

プロジェクトのイメージ 出典:FAプロダクツ

 現時点でこのプロジェクトに参画する需要家は、建設事業を手掛ける徳倉建設および坂田建設の参画が決まっている。建設業界ではビルなどの建物そのものの省エネには取り組んできたが、建設プロセスの脱炭素化やグリーン電力の活用など、より踏み込んだ環境対策ニーズが高まっていることを受け、参画を決めたという。なお、今後プロジェクトに参画する需要家は、広く募る予定だ。

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