農林水産省が発表した「環境政策の基本方針」、再エネ・ソーラーシェアリングの扱いは?ソーラーシェアリング入門(27)(1/2 ページ)

太陽光発電と農業を両立する手法として、近年大きな期待と注目を集めている「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」について解説する本連載。今回は2020年農林水産省が2020年3月に発表した「環境政策の基本方針」において、再エネやソーラーシェアリングがどのように位置づけられているのかを解説します。

» 2020年03月27日 07時00分 公開

 2020年3月16日に、農林水産省が「農林水産省環境政策の基本方針」(以下、環境基本方針)をひっそりと公表しました。この基本方針策定の趣旨は、下記のように説明されています。

 農林水産業は環境と密接にかかわる産業です。近年の気候変動等は農業経営や食料の安定供給に大きな影響を及ぼしており、国際的にも極めて重要な課題です。また、持続可能な社会の実現に向けたSDGs(持続可能な開発目標)の取組が国際的に広がり、人々の意識と行動を大きく変えつつあります。

 このため、農林水産省では、農林水産業・食品産業の成長が環境も経済も向上させる環境創造型産業への進化を理念に掲げ、SDGs時代にふさわしい「農林水産省環境政策の基本方針」(以下「環境基本方針」という。)を取りまとめました。

出典:「農林水産省環境政策の基本方針」の公表についてー農林水産省(クリックでリンク先へ

 SDGsの取り組みは日本政府でも各省庁が独自の色を出しながら進めていますが、遅まきながら農林水産省も今回の環境基本方針の発表に至りました。それにしても、農林水産省が環境政策と言うとちょっと不思議な感じがしますが、それはさておき、この環境基本方針の中で農林水産省が掲げた3つの理念があります。

  1. 農林水産業・食品産業における環境負荷低減への取組と同時に環境も経済も向上させる環境創造型産業への進化
  2. 生産から廃棄・再生利用までのサプライチェーンを通じた取組と、これを支える農林水産・食品産業政策のグリーン化及び研究開発の強力な推進
  3. 事業体としての農林水産省の環境負荷低減の取組と自己変革

 1点目で、農林水産業・食品産業を環境創造型産業へと進化させるとしているところでは、そもそも農林水産業が自然環境に直接手を加えていく産業であるとともに、自然資本の維持・管理の担い手であるという視点も重要になるでしょう。気候変動に適応していくことも含めた環境問題への対応を、「もはやコストではなく、ビジネス・ベースでその成長・発展に不可欠な要素」としているところは興味深い視点です。再生可能エネルギーの導入もそうですが、環境問題への対応はコスト増加であるという思考から、なかなか抜けられないのが日本の企業経営における1つの古めかしい課題です。

 では、今回の環境基本方針の中でソーラーシェアリングを含む再生可能エネルギーはどのように位置づけられているのでしょうか。1つは、「II サプライチェーンの視点」の中で、「バイオマス」を化石燃料由来の資源で賄われてきたエネルギーやプラスチック製品を代替するという視点が示されています。

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