農林水産省が発表した「環境政策の基本方針」、再エネ・ソーラーシェアリングの扱いは?ソーラーシェアリング入門(27)(2/2 ページ)

» 2020年03月27日 07時00分 公開
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ソーラーシェアリングはどう位置づけられたのか

 もう1つ、「IV 政策のグリーン化」の中で、「農山漁村に豊富に存在する資源が産み出す再生可能エネルギーをフル活用することにより、事業収益等による農山漁村の経済規模の拡大と農山漁村のエネルギーイノベーション(RE100の実現)を目指す。」という一文があります。これは、農山漁村でのRE100実現という視点ではありますが、農林水産業・食品産業の全てでRE100を目指すというところまでは言及されていません。また、「VI 職員の意識等の変革」に「農林水産省の業務や庁舎に由来する温室効果ガス排出量を削減」という項目がありますが、ここで「使用する全てのエネルギーを農山漁村からの再生可能エネルギー供給で賄う」くらいは入れて欲しかったと思います。この章の中で、使用するエネルギーの転換には全く触れられていないのが残念です。

 そして、ソーラーシェアリングは環境基本方針のどこに登場するかと言えば、まさかの「V 研究開発」です。「農林水産業の生産性向上と環境対策を両立するイノベーションの創出」という項の中で、Climate Smart Agricultureを例に出しながらスマート農林水産業の推進に触れるところで、「脱炭素社会の実現に向けた、バイオマスや営農型太陽光発電関連技術の向上、発電で発生する余熱の有効利用等を通じた総合的なコスト縮減等を推進する。」という一文が登場します。

 まぁ確かに、既に普及している太陽光発電設備全体のシェアから見ても、まだまだソーラーシェアリングの技術は普及に向けた研究開発が必要なフェーズだとは言えるでしょう。今後何年かの農林水産省としての基本方針を示した文書で、ここにソーラーシェアリングを位置づけた以上は、今後の積極的な研究開発資金の投入に期待したいと思います。

ソーラーシェアリングの技術は、これからが伸び盛り
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